数学・解析
四分円の重心を、直接に微積分を使わずに極限操作のみによって求めることもできる。上図のように、四分円を n 等分して細長い扇形を作る(図では 20 等分した)。その扇形を x 軸に近い方から順に とする。n が十分大きいとき、各 はほぼ三角形とみなせる。そ…
不連続点の種類 さて、今度は連続でない例を挙げることにします。 とおくと、良く知られているように ですから、これは x = 0 で連続ではない例になっています。ところが、x = 0 のときの値を取り換えて としてしまえば、今度は x = 0 でも連続になります。…
右極限・左極限 関数 f(x) において、変数 x が実数値のときには、x が有限の値 a に近づく方法は二通りある、と前回書きました。そこで次の定義をおきます。 定義 3 であるとは、任意の に対して が存在して となることである。これを右極限と言い、 で表す…
久々に 論法の続きです。 関数の極限 数列 の場合、 の挙動だけが問題で、そのほかには興味がありません。しかし関数 f(x) の場合になると、x が有限の値 a に近づくときの挙動も問題になります。そこでいきなり定義から入ります。変数や値が複素数の場合に…
複素数列について これまで、数列は実数列として考えてきましたが、複素数列 に対しても同じように収束・発散の定義ができます。ただし、発散の定義は若干の修正が必要で 任意の に対して自然数 が存在して が成り立つ と置き換えます(複素数には正負の概念…
数列にもう少しだけお付き合いください。 Cauchy 列 定義 数列 について、任意の に対してある自然数 が存在して を満たすとき、 は Cauchy 列であるという。Cauchy 列は非常に強力な概念で、例えば 収束列は Cauchy 列である Cauchy 列のある部分列が に収…
さて、以前に紹介した について、この数列が 0 にも 1 にも収束しないことは、簡単に見て取ることができます。実際 を満たす が無限個()存在するので 0 には収束しませんし、同じく となる も無限個()存在するので 1 にも収束しません。しかしながら、これだ…
収束しないことの定義 数列が(ある値に)収束することの定義の否定を考えてみましょう。まず、 の定義を、論理式で書いてみます。この論理式を否定すれば、「収束しない」の定義が出来上がります。この最後の論理式を読み下すと「ある が存在して、無限個の …
そろそろ本題(?)の続きを書かないと忘れられそう(滝汗)なので、再開したいと思います。 発散の定義 これまでは、数列がある値に収束する、ということの定義を述べてきましたが、同様にして発散の定義を作ることができます。 定義 数列 が に発散する( と表記…
数列の 論法は、以下のような抽象的な議論をするときには強力な道具になります。 例 ならば (証明) を固定する。 により ならば となる自然数 が存在する。 のうち最大のものを とすれば により ならば となる自然数 が存在する。 そこで とおくと のとき と…
いくつかの例 1. を正の数として とおきます([・] は Gauss 記号)。このとき N は にのみ依存する自然数で、Gauss 記号の定義により が成り立ちます。したがって逆数を取れば であり、よって ならば なので 2. 、ただし ならば自明なので、 とします。 とお…
さて、前回名前が出てきた 論法とは、いったいどんなものなのでしょうか。 基本となる考え方は 数列がある値に収束するならば、数列の十分先は、その値に十分近いところに全て収まっているであろう というものです。この考え方を頭に入れて、数列の収束の定…
前回の続きです。 前回の正解は「ある値には近づかない」です。何故でしょうか ? 例えば というように、 をはずすように を大きくしていくと、この数列は 0 に近づきます。しかし、 のように、常に の形をしているように を大きくしていくと、この数列は常に…
皆さんは高校のとき、「極限」をどのように習ったでしょうか。おそらく 数列 が、 を大きくしたとき限りなく に近づくとき、 と表す みたいな感じで習ったと思います。しかし 限りなく に近づく とはどういうことなのでしょうか。次の数列を考えてみてくださ…
補題 3 の証明(後半) さて、前半の最後に書いた式 が示されれば となって補題 3 が示されたことになります。そこで となる があったとして矛盾を導きます。 はある に含まれているはずです。この がある に含まれていることが示されれば矛盾が得られるので、…
長らく補題 3 の証明を放ってしまっていたので、ぼちぼちやります。 補題 3 の証明(前半) とおき、 は となるものを一つ固定しておく。そして として、 は となるものを一つ取る。 このような操作を続けて として、 を となるように(可能であれば)取る。 こ…
2,3 の事実の証明を省いたものの、証明は徐々に完成に近づいてきました。残るは補題 2 です。しかし、補題 2 の証明のためには以下の補題が必要です。 補題 3 を任意の(可測でなくても良い)集合とする。今、 を覆う球の族 を考え、これに属する球の直径は有…
前回の続きですが、また補題を用意します。 補題(証明略) において が を満たしているならば、任意の に対して *1 さらに、 が有界可測で、開集合 で連続ならば、 に含まれる任意のコンパクト集合上で は に一様収束する。 (実際には関数列 でなく、あるパラ…
前回の続きです。 とおきます。このとき で が成り立ちます。ところで に対して 補題 2 ある定数 が存在して、任意の に対して *1 (実際は で良い) が成り立つので、任意の に対して … (*) が成り立ちます。そこで、関数解析学でよく知られるように、任意の …
前回の補題 1 を見て、何か気づかなかったでしょうか。 もし が連続関数なら、これは微積分学の基本定理そのものです。つまり、補題 1 は、ある意味これも微積分学の基本定理と呼ぶに相応しいものなのです。 しかし、 に関する条件がゆるくなっているので、…
まず、次の補題を認めることにします。 補題 1 を 上の局所可積分関数とし とおけば、 はほとんどいたるところ微分可能で (a.e.) が成り立つ。 これを認めたうえで、前回の定理を証明しましょう。 を絶対連続関数とすると、 によって定義される Lebesgue - S…
まず、これまでに確認したことをおさらいします。 測度 に関して絶対連続な実測度(または 有限な正測度)は、ある可測関数の積分の形に書ける 区間 上の絶対連続関数は有界変動関数であり、その Lebesgue - Stieltjes 測度は Lebesgue 測度に関して絶対連続で…
さて、昨日の問題の種明かし。 とおきます()。このとき に気づくと簡単。 のとき、右辺は 1 に収束するので が成り立ちます。したがって というわけです。皆さんは出来ましたか ? (^_^)
本格的な更新が出来るようになるまでしばらく時間が掛かりそうなので、場つなぎ的な更新で済ませます。 のとき が成り立つことを示せ. 気づくと簡単ですよ。種明かしは明日以降に。
絶対連続関数は有界変動関数である を区間 上の絶対連続関数(絶対連続関数の定義は既に与えました)とし、 を一つ固定して … (1) ならば … (2) を満たす を固定します。 として、 の細分 を考えるとき、細分をより細かく取った方が の値は大きくなりますので …
定理 が区間 上の有界変動関数ならば 、 は単調増加 と表せる。 (証明) とおくと、次のことが容易に分かる。 そこで とおけば、次のことも比較的容易に確かめられる。 そこで、 を一つ固定して とおけば、 は単調増加関数で が成り立つ。 有界変動関数に対す…
有界変動関数 区間 上の関数を とし、 に対して区間 の細分 を考え、和 を考えます。そして、 のあらゆる細分 に関する の上限を で表し、 の区間 における全変動と言います。 定義 区間 上の関数 に対して、任意の に対して が成り立つとき、 を有界変動関…
本題に進む前に、もう少しだけ寄り道していきます。 を任意の測度空間として、 を 上非負の可積分関数とします。このとき とおいて、これを の分布関数と言います。分布関数は単調増加*1になるので、その Lebesgue - Stieltjes 測度が定義できますが、このと…
特異な連続単調増加関数の例 とし、自然数 に対して と定義します。このとき、各 において と定義します。これはカントール関数(Cantor function)と呼ばれ、カントール集合の上でしか値の増加が起こらない単調増加関数です。しかも、この関数は連続になりま…
単調増加関数の分解 区間 上の単調増加関数 を与えると、これは と分解することができます。ここで は絶対連続な単調増加関数 は特異な連続単調増加関数*1 は離散的単調増加関数 であり、この分解は定数の和を無視して一意です。以下、その証明をしていきま…