2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

距離空間から位相空間へ(その 7・最終回)

最後に、写像の連続性について見てみます。 距離空間 に対し とおくと、写像 が で連続であるとは のことでした。これを書き直すと となり、基本近傍系を用いて と一般の位相空間に一般化できます。さらに基本近傍系の性質から と一般化しても同じことである…

距離空間から位相空間へ(その 6)

基本近傍系 前回、近傍系(= 近傍の全体) を定義しましたが、これに対する基本近傍系 とは、任意の に対して となる が存在するものを言います。例えば を含む開集合の全体 距離空間 における などが基本近傍系になります。一般に基本近傍系は 全ての につい…

距離空間から位相空間へ(その 5)

内部作用子、閉包作用子による位相の定義 位相空間における集合の内部と閉包について述べましたが、逆に、内部の性質 2 〜 4*1を満たすような、集合 M に を対応させる作用子(内部作用子)を定めることで、やはり位相空間が得られます。そのとき、開集合は内…

距離空間から位相空間へ(その 4)

位相空間における内部と閉包 位相空間 X の任意の部分集合 M は必ず なる開集合を含みます。したがって、M に含まれるありとあらゆる開集合の和集合というものを考えることができます。これが M に含まれる最大の開集合であることは異論がないでしょう。これ…

距離空間から位相空間へ(その 3)

事態を一般化して、集合 X の部分集合の系で、次の性質をみたす集合系 が与えられていたとしましょう。 ならば ならば このような集合系 が与えられた集合 X を位相空間といい、 を X の開集合系と言います。また、 の要素であるような X の部分集合のことを…

距離空間から位相空間へ(その 2)

開集合の性質 距離空間 X の開集合には次の著しい(?)性質があります。 は開集合 が開集合ならば も開集合 が開集合ならば も開集合 が開集合なのは約束事とも言えますが、定義からも示せます。残る二つの性質を示すのは難しくないでしょう。 閉集合が開集合…

距離空間から位相空間へ(その 1)

今回は、距離空間の性質を一般化して位相空間を定義する方法を見ていきます。 距離 X を集合とするとき、 が距離であるとは (三角不等式) が成り立つことを言います。距離 d が与えられた集合 X を距離空間といいます。例えば、実数や複素数なら絶対値を用い…

I 進位相

A を可換環とし、I をそのイデアルとするとき、 を 0 の基本近傍系とする位相が定まり、A はこの位相に関して、和・積ともに連続となる(位相環)。この位相のことを A の I 進位相という。また、M を A 加群とするとき、 を 0 の基本近傍系とする線型位相は和…

ポントリャーギン「連続群論」

結局、今年は気の利いたエイプリルフールネタは思いつきませんでした。 その代わりと言っては何ですが、上下巻揃 3,150 円という安さに負けて、収入もないくせにポントリャーギン「連続群論」を某古書店にて注文してしまいました。 …こういうことばっかりし…