2005-09-01から1ヶ月間の記事一覧

なぜ定積分は面積か

閉区間 [a,b] において連続な関数 y = f(x) について、a ≤ x ≤ b のとき f(x) > 0 とします。このとき、y = f(x) のグラフと x 軸、及び、直線 x = a , x = b で囲まれる領域の面積は で求められる、と、高校では教わるはずです。しかし、なぜこれで面積が求…

素数なのに !?

2 が素数であることは、おそらく誰でもご存知だと思います。これが、さらにある二つの「整数」の積に分解できる、といったら、皆さん驚くでしょう。 それは「ガウスの整数」と言われるものです。 が「ガウスの整数環」と言われるもので、この中では 2 は と…

エキゾチック 4 次元 Euclid 空間

Euclid 空間には、ごく自然な方法で可微分構造が入ります。我々は、それを普段意識することはありませんが、関数を微分するときなどは、当然のことながら、その「自然な」可微分構造の元で行っているわけです。 ところが、4 次元 Euclid 空間、いわゆるには…

7 次元エキゾチック球面

7 次元球面には、通常の可微分構造のとは違う可微分構造を持った物が存在します。これは微分トポロジーの分野では良く知られた有名な事実なのですが、その個数について、正確に知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。答は「15 個」です。一般的に…

ホモロジー群とホモトピー群

多様体にホモロジー群が定義できるのと同様にして、「ホモトピー群」というものが定義できます。これは基本群(= 1 次ホモトピー群)の拡張のようなものです。名前は似ていますが、両者には大きな違いがあります。 n 次元多様体を考えます。このとき、(n + 1) …

Euler 数

多様体には、「Euler 数」と呼ばれる一種の不変量が定義できます。例えば n 次元球面の Euler 数はとなることがわかっています。従って、n が奇数ならば、Euler 数は 0 になります。一方で球面の Euler 数は 2 になりますが、皆さんは、正多面体等で (頂点の…

Feit-Thompson の定理

G を有限群とするとき、G が可解群であるとは となる群の列で、に対してが素数位数の巡回群となるようなものがあるときを言います。このとき、次のような驚くべき定理が知られています。 定理(Feit-Thompson) 奇数位数の有限群は可解群である. 信じられない…

逆にしても鏡に映しても

「8 の字結び目」(画像参照)と呼ばれる結び目があります。結び目理論では型の結び目になります。 さて、一般に、結び目に対してはその「逆」と「鏡像」というものが定義できます。 逆 結び目には向きをつけることが出来ますが、そのつけた向きと逆の向きをつ…

えっ、結び目で多項式 !?

結び目からは、その結び目に特有の多項式が、様々な方法によって導き出され、結び目を特徴付ける、いわゆる「不変量」としての性格を持っています。 結び目における最も基本的な多項式は Alexander 多項式です。最も簡単な(自明でない)結び目は、数学界では …

昨日未更新の件

昨日は多忙とそれに伴う疲労のため、更新できませんでした。今日から三連休なので、精力的に更新したいと思います。

円分多項式

代数学の体論で出てくる、「円分多項式」というものがあります。ここで、円分多項式について説明しましょう。なお、以下の内容は基本的に「代数概論 (数学選書)」(森田康夫著、裳華房)からの引用です。 その前に、まず「1 の原始 m 乗根」と言われるものにつ…

高校の問題で 3 次以上の方程式が出たら ?

高校生の範囲でも、3 次以上の方程式を解くような問題は時々出てきます。しかも整数解もない…そんなときは ±(定数項の約数)/(最高次の係数の約数) が解になっていないか調べてみると、うまく行くことがあります。覚えておくと便利ですよ !

必ず決まった訳され方をする英語

一般には様々な意味を持つ英単語が、数学ではほとんどの場合において一通りにしか訳されない、というケースがいくつかあります。 "series" = 「級数」*1(一般には「(〜の)続き」「続き物」の意) "period" = 「周期」(一般には「期間」「終止符」の意) "group…

なぜ「余弦波」という言葉はないのか ?

皆さんは、「正弦波」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。言うまでもなく、のグラフのことを「正弦波」と言います。しかし、「余弦波」という言葉は何故かありません(MS-IME では変換できない)。何故でしょう ? その理由は、正弦波を平行移動するとの…

それでも数学は役に立たない

昨日の記事で、あたかも数学教育の重要性を訴えるかのようなことを書きました。もちろん数学「教育」は必要です。しかし、数学そのものは、やはり役には立たないと思います。特に高校以上の数学となれば、役に立たない度合いも激しくなります。一体どれだけ…

二次方程式の解の公式は消えていた !!

昨日の日記に頂いたトラックバックで知ったことなのですが、実は中学校の数学の教科書から、二次方程式の解の公式が消えていたことが判明。「発展的な内容」という形で復活するそうですが、この事実には驚きました。おそらく、教育課程審議会の会長である三…

三次方程式にまつわる話

三次方程式の解の公式を発見したと言われるジェロラモ・カルダノ(1501-1576)について書きます。 さて、そもそも三次方程式の解法を最初に発明したのは、スキピオネ・デル・フェルロ(1465-1526)であると言われています。彼はの形の三次方程式に対する一般的な…

トランプのカードの配り方

トランプはジョーカーを除けば 52 枚あります。その配り方は 52! 通りですが、果たして 52! とはどのくらいの数なのでしょう。それは常用対数を取るとわかります。手計算は大変なので、Excel でやりました。 何と 68 桁もの数なのです。トランプで遊んでいて…

二次方程式の解の公式

二次方程式の解の公式は、中学校で必ず覚えさせられます。しかし、平方完成のやり方さえマスターしていれば、次のようにして導けるのです。以下、a ≠ 0 とします。 あらお見事。これで万が一忘れても大丈夫。二次方程式において最も大事な事は、解の公式を覚…

三角関数・三倍角の公式

よく、「○○の公式は覚えた方がいいですか ?」という質問をされるのですが、公式は何でもかんでも覚えればよいというものでもありません。その代表格が三角関数の三倍角の公式。例えばは、加法定理と倍角の公式を覚えていれば でめでたく導けます。三角関数で…

高校数学のいい加減さ

というのは、高校数学を学び終えた人なら誰でも知っているものです。この証明は、高校数学では以下のようにやるのが一般的です。x > 0 のとき の逆数を取って , この各辺にを掛けると となるので、x → + 0 とすればというわけですが、ここで一つ問題が生じま…

数学道場出題中

「数学コーナー」にて数学道場の 8 問目と 9 問目を出題中です。9 問目は、ちょっと考えるとすぐわかる問題ですので、奮ってご参加くださいませ〜。

角の三等分は何故不可能か

例えば 30°は三等分できません。30°/3 = 10° を作図するにはがわかればできます。 三倍角の公式と を用いると、は という三次方程式を満たします。ところが、この三次方程式、有理係数で既約なのです。ということは、有理数体に を付け加えてできる拡大体は…

作ってみました。

はてなには以前から興味があったのですが、今までは Seesaa ブログで事足りていたので、特に登録はしていませんでした。しかし D Slender さん曰く mimetexが使える との事なので、かねてから計画していた「数学系ブログ」がこれで実現できそうです。という…