2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 6)

正則測度 測度空間 において、 が局所 compact Hausdorff 空間の場合を考えます。このとき が 1. は完備 2. 3. が compact なら 4. なる任意の に対して、任意に を取ると、開集合 と compact 集合 で を満たすものが存在する を満たすとき、 は正則測度であ…

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 5)

以下、 は区間 上の単調増加関数とします。 Lebesgue - Stieltjes 測度の性質 一点からなる集合 は 可測です。それを知るには、 なる集合に対して を示せばよいことになります。このことは、直ちに明らかとは言えませんが、示すことはさほど難しくないと思い…

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 4)

第一種不連続点と単調増加関数 一変数関数 において がともに存在し、かつ両者の値が等しくないとき、 を の第一種不連続点と言います。 定理 を区間とする。 上の単調増加関数 の第一種不連続点は高々可算個である。 (証明) 任意の区間は高々可算個の閉区間…

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 3)

Lebesgue - Stieltjes 測度の性質をいろいろと論ずる前に、少し測度論の復習(?)をします。 Carathéodory の外測度と完備測度 基礎となる集合 に対し、 (つまり を値に取ることも許す)が を満たすとき、これを 上の Carathéodory の外測度あるいは単に外測度…

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 2)

参考書 順番が前後しましたが、測度論に関する参考書を 3 冊ほど挙げておきます。 ルベーグ積分 (現代数学レクチャーズ B- 7)作者: 竹之内脩出版社/メーカー: 培風館発売日: 1980/09メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見るルベー…

Lebesgue - Stieltjes 積分(その 1)

単調増加関数に関する Lebesgue - Stieltjes 測度 を区間とし、 上で単調増加する関数 を与えます。このとき、 に対して、開区間 の測度を と定めます。そして に対して、 を に含まれる高々加算個の開区間で覆います。 このとき として、可能な被覆 に関す…

Radon - Nikodym 微分(その 10・最終回)

有限な正測度の Radon - Nikodym 微分 最後に、Radon - Nikodym の定理から得られる、次の定理を証明しておきます。 定理 を 有限な測度空間とする。 を 上の 有限な正測度で に関して絶対連続とする。このとき、いたるところ有限な値をとる可測関数 が存在…

Radon - Nikodym 微分(その 9)

Radon - Nikodym の定理の証明(その 4) 次に、 が 有限の場合を考えます。このときは を満たす可測集合列が存在します。そして各 上では を満たす 上非負でいたるところ有限な積分可能関数 が存在します。そこで として得られる関数 を考えれば、 かつ は可…

Radon - Nikodym 微分(その 8)

Radon - Nikodym の定理の証明(その 3) 前回定義した が求めるものであることを示します。 を有理数で なるものとし、 を細分して とします。このとき ならば が成り立ちます。故に です。また も成り立ちます。従って となります。 ここで として について…

Radon - Nikodym 微分(その 7)

Radon - Nikodym の定理の証明(その 2) 前回定義した集合族 を用いて、 を と定めます。 により、 はいたるところ有限な値をとる関数です。 は容易にわかります。また、 ならば なる が存在しますが、 なので も成り立ちます。従って、任意の実数 に対し は…

今後の予定など

最近、あまり高校生向けの話題を書いて無いなぁ。ということで、Radon - Nycodim 微分と Lebesgue - Stieltjes 積分(と、両者の関係)に決着が付いたら、高校生向けに 論法の話でも書こうと思います。

Radon - Nikodym 微分(その 6)

Radon - Nikodym の定理 いよいよ Radon - Nikodym の定理を証明します。証明は長いので数回に分けますが、まず定理の主張を述べておきます。 定理(Radon - Nikodym) を 有限な測度空間とする。 が 上の に関して絶対連続な実測度ならば、いたるところ有限な…

Radon - Nikodym 微分(その 5)

Lebesgue の分解定理 定理 測度空間 に対し、 上の 有限測度(または実測度)は ただし は に関して絶対連続な測度(または実測度) は と互いに特異なな測度(または実測度) と分解できる。さらに があって と表される。しかもこの分解は一意的である。 これによ…

Radon - Nikodym 微分(その 4)

以下、通常の意味での測度を正測度と呼ぶことにします。 測度の絶対連続 を測度空間 上の積分可能な関数とするとき は実測度です。この実測度は次の性質を持ちます。 ならば 任意の に対して、適当に を取れば が成り立つ。 二番目については とおけば だか…

Radon - Nikodym 微分(その 3)

Hahn の分解定理 補題 4 により、可測空間 と、その上の実測度 が与えられると、可測集合 で ならば ならば を満たすものが取れることがわかりました。この を用いて とおくと かつ が成り立ちます。ここで は とも表せます。当然 ですが、この意味でこの分…

Radon - Nikodym 微分(その 2)

実測度の性質(続き) 前回の続きです。 補題 4 とすれば、 となる が存在して ならば ならば となる。