2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

待ち行列理論(その 4)

型待ち行列(続き) さて、 とわかったところで を求めてみましょう。そのために一つ公式を用意しておきます。 のとき の両辺を について微分して 故に ゆえに さて、今度は待ち時間ですが、 は、客が到着してからサービスを受け始めるまでの時間であり、この…

待ち行列理論(その 3)

型待ち行列(続き) 微分方程式系 が のとき、 で平衡状態になると考え、 とします。 と考えられます*1から、平衡状態において が成り立ちます。第 2 式を変形すると となるので、第 1 式と合わせて , すなわち が成り立ちます。このことから となりますが、 …

待ち行列理論(その 2)

型待ち行列 まずは、最も基本的な 型待ち行列を解析してみましょう。時刻 の時点での系の長さが である確率を で表します。時刻 の時点で系の長さが 0 である確率 を求めてみましょう。以下の 4 パターンが考えられます。 時刻 の時点で系の長さが 0 で、時…

待ち行列理論(その 1)

これからしばらくは待ち行列理論にお付き合いいただきます。とりあえず独特の用語が多いので、最初に用語の定義だけしておきます。 平均到着間隔と平均到着率 客の到着間隔を確率変数と見たとき、その従う分布を到着分布と言い、その期待値を平均到着間隔と…

指数分布とポアソン分布(おまけ)

実は今まで話してきた指数分布のランダム性は、記憶の欠如と呼ばれる、次の性質が大きく関係しています。T を指数分布に従う確率変数とするとき が記憶の欠如です。待ち行列に絡めて話をすれば「次の客が来るまでの時間は、それまでの経過時間には影響されな…

指数分布とポアソン分布(後編)

客の平均到着率を とします。このとき、時刻 の間に到着する客の数は期待値 のある分布に従っているはずです。今仮に、それがポアソン分布であるとしましょう。その確率密度関数は … (*) です。最後の客が到着した時点から起算して、次の客が到着するまでの…

指数分布とポアソン分布(中編)

さて、客の到着がランダム(到着間隔が指数分布に従う)であるとき、前回の結果から、時刻 の間に到着する客の数 について が得られました。ここで、時刻 の間に 人の客が到着する確率を で表すことにすれば ですから と、微分方程式を立てることができます。 …

指数分布とポアソン分布(前編)

いま、ある窓口に客が次々と到着する状況を想定します。そして、その客の到着間隔が指数分布に従っているとします。指数分布の確率密度関数は をある定数として で、その期待値は です。*1現在時刻を とし、それ以前に最後に客が訪れた時刻を とします。この…

一様乱数の差の分布(後編)

二つの確率変数 (X, Y) の同時分布の確率密度関数 p(x,y) が分かっていると、今回の P(Y < X) のような確率は二重積分でも求められます。ちなみに X と Y が独立ならば、X の確率密度関数を f(x)、Y の確率密度関数を g(y) とするとき、(X, Y) の同時分布の…

一様乱数の差の分布(前編)

とある国家試験に次のような問題が出たそうです。 0 から 1 までの一様乱数から X と Y を取り出すことを 600 回繰り返す。このとき Y < X を満たす回数の期待値はいくらか。 実際には選択肢が与えられているので、勘で当てられなくもありませんが、ちょっと…