数学・確率・組み合わせ

共分散の落とし穴

二つの確率変数 X , Y が独立なら、共分散 は 0 になりますが、共分散が 0 だからといって独立になるかというとそうではありません。例えば X を標準正規分布に従う確率変数とし、 とおきます。このとき なので ですが、明らかに X と Y は独立ではありませ…

指数分布とポアソン分布(おまけ)

実は今まで話してきた指数分布のランダム性は、記憶の欠如と呼ばれる、次の性質が大きく関係しています。T を指数分布に従う確率変数とするとき が記憶の欠如です。待ち行列に絡めて話をすれば「次の客が来るまでの時間は、それまでの経過時間には影響されな…

指数分布とポアソン分布(後編)

客の平均到着率を とします。このとき、時刻 の間に到着する客の数は期待値 のある分布に従っているはずです。今仮に、それがポアソン分布であるとしましょう。その確率密度関数は … (*) です。最後の客が到着した時点から起算して、次の客が到着するまでの…

指数分布とポアソン分布(中編)

さて、客の到着がランダム(到着間隔が指数分布に従う)であるとき、前回の結果から、時刻 の間に到着する客の数 について が得られました。ここで、時刻 の間に 人の客が到着する確率を で表すことにすれば ですから と、微分方程式を立てることができます。 …

指数分布とポアソン分布(前編)

いま、ある窓口に客が次々と到着する状況を想定します。そして、その客の到着間隔が指数分布に従っているとします。指数分布の確率密度関数は をある定数として で、その期待値は です。*1現在時刻を とし、それ以前に最後に客が訪れた時刻を とします。この…

一様乱数の差の分布(後編)

二つの確率変数 (X, Y) の同時分布の確率密度関数 p(x,y) が分かっていると、今回の P(Y < X) のような確率は二重積分でも求められます。ちなみに X と Y が独立ならば、X の確率密度関数を f(x)、Y の確率密度関数を g(y) とするとき、(X, Y) の同時分布の…

一様乱数の差の分布(前編)

とある国家試験に次のような問題が出たそうです。 0 から 1 までの一様乱数から X と Y を取り出すことを 600 回繰り返す。このとき Y < X を満たす回数の期待値はいくらか。 実際には選択肢が与えられているので、勘で当てられなくもありませんが、ちょっと…

Σnr = 0 nPr

は有名な公式ですが、 については知らない人も多いかと思います。私も今日初めて知りました。答は になるそうです。以下がその証明が書かれた論文らしいです。 Number theoretic aspects of a combinatorial function マイミクさんの日記で知りました。

数学におけるランダムの定義

数学において、ランダムとはそもそも何でしょうか。それは「起こりうる全ての事象が全て等しい確率で起こるような確率空間を与える」ことに他ならず、言わば神から与えられたような代物です。実際に行われたある試行がランダムかどうか、厳密に調べる術は、…

直感と相容れない確率

40 人の人が、10 枚のコインを一度に投げるとします。このとき、10 枚が全て表になる確率、及び、10 枚が全て裏になる確率は、それぞれ 1/1024 です。したがって、40 人のうち、少なくとも一人が 10 枚とも全て表、もしくは裏になる確率は で、約 7.5%。決し…

大数の法則

表が出ることと裏が出ることが同様に確からしいコインを投げるとき、表が出る確率、裏が出る確率はともに 1/2 です。従って、コインを 2 回投げたとき、表が 2 回出る確率は 1/4。そう簡単に表と裏が 1 回ずつ出てくれるとは限りません。 しかし、1000 回中 …

トランプのカードの配り方

トランプはジョーカーを除けば 52 枚あります。その配り方は 52! 通りですが、果たして 52! とはどのくらいの数なのでしょう。それは常用対数を取るとわかります。手計算は大変なので、Excel でやりました。 何と 68 桁もの数なのです。トランプで遊んでいて…