小市民 -数学徒編-

日常会話でついつい 数学用語が出る ああ〜数学徒〜 x, y って見ちゃうと 未知数だと思う ああ〜数学徒〜 買ったはいいけど 読んでない数学書が多い ああ〜数学徒〜 計算用紙を読み返しても 意味がわからない ああ〜数学徒〜 卒論がないからと 高をくくって…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 7)

半群の交換法則の一般化 を可換半群とするとき, 交換法則 を一般化します. 命題 とし, を可換半群 の台集合 の元とし, とするとき が成り立つ. (証明)これは自然数 に関する命題 である. のとき であるから であり, は成り立つ. が成り立つと仮定して が成り…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 6)

半群の結合法則の一般化 を半群とするとき、もちろんですが が成り立つわけですが、これを一般化します。 命題 とし, を半群 の台集合 の元とするとき なので が成り立ちます。したがって命題の結論の式は意味を持ちます。(証明) のとき なる自然数は存在し…

諸君、私は数学が好きだ

諸君、私は数学が好きだ 諸君、私は数学が好きだ 諸君、私は数学が大好きだ 集合論が好きだ 代数が好きだ 位相空間が好きだ 圏論が好きだ 統計学が好きだ 中学で 高校で 大学で 研究室で 独学で この地上に存在するありとあらゆる数学が大好きだ 選択公理が…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 5)

今回は後々使う事実からまず証明していきます。 定理 を の元とするとき (証明) 右から左に関しては から なので成り立つ. 左から右を示すため命題 として を用意し, まずこれを示す. は真である. が成り立つと仮定する. このとき であり, として をとればよ…

はてなブログに移行します

この度はてなブログに招待していただいたので、様子を見ながらはてなブログの方へ移行していこうと思います。まだちょっと不具合もあるようなので、当面はこちらも継続します。はてなブログ「Red cat の数学よもやま話・新装開店」 http://mathneko.hatenabl…

円周率を解析的に定義する(後編)

長くなりそうなのでセクションに分けていきます。 指数関数と指数法則 級数 の収束半径は無限大です。そこで任意の に対して と定義します。 とおくと、任意の実数 に対して が成り立つため、複素数 に対しても と書きます。ここで大事なことは、指数法則 が…

円周率を解析的に定義する(前編)

円周率の解析的な定義はいろいろあって、以前も一つ紹介しましたが、ここでは別な方法を紹介します。1. 次の二つの級数の収束半径は無限大である。 証明はそれほど難しくないので割愛します。この事実を利用して、任意の に対して と定義します。2. のとき …

1 で終わる数による割り算

前回とは逆(?)に、今度は 1 で終わる数による割り算を考えます。1 で終わる数は一般に と書けます。 を計算してみます。まずは と書き換え、 … (*) と割り算します。 により です。この両辺を 10 倍して整理すると となります。計算で分かるように なので、(…

9 で終わる数で割る割り算

9 で終わる数字による割り算を考えます。9 で終わる数字は一般に と表せますので を計算することを考えます。 として問題ありません。まず と書き換えます。次に … (*) と割り算します。 の条件から が成り立ちます。この両辺を 10 倍して整理すると となり…

100 に近い数同士の掛け算

100 に近い数字同士を掛け算するときの上手い方法を数式を用いて説明してみたいと思います。 とおいて掛け算すると となります。ここに、 の部分は もしくは と書けます(すなわち両者は常に一致)。そこでこの値を とおいて となることが分かります。例えば …

複素ベクトルと三元数

複素ベクトルと三元数作者: 眞鍋克裕出版社/メーカー: ブイツーソリューション発売日: 2010/11/25メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 80回この商品を含むブログ (1件) を見る著者は国家公務員らしい。Hamilton さえ成し得なかった三元数。果たしてどんな理…

可換代数入門

Atiyah‐MacDonald 可換代数入門作者: M.F. Atiyah,I.G. MacDonald,新妻弘出版社/メーカー: 共立出版発売日: 2006/02/01メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 68回この商品を含むブログ (6件) を見る将来的に代数幾何や数論をやる人向けの、可換環論の入門書…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 4)

を集合、 を自然数とするとき、集合 を次のように定義します。 ちなみに の同一視は から への写像 について、 は によって決定されるため、この両者を同一視することによって決めます。こうすると、たとえば となります。 のとき、自然に とみなすことがで…

double 型の罠

class Test { public static void main(String[] args) { for(int i = 0; i < 10; i++) { System.out.println(i / 10.0 == 0.1 * i); } } } さて、このプログラムの実行結果はどうなるでしょう ? コンピュータで実数を扱うのって難しいですね(苦笑)。

素数判定

ある整数が素数かどうか判定したいことは良くあると思います。それをプログラムで表すにはどうすればいいか ? というのは、初心の人にはなかなか分からないと思います。そもそも素数とは、1 と自分自身しか約数を持たない 2 以上の整数のことを指します(負の…

3 × 5 と 5 × 3 は違う !?

5 枚の皿に 3 個ずつリンゴが乗っている。リンゴは全部で何個あるか。 という問題が、今議論を呼んでいるようです。指導要領的な解釈では、1 枚の皿に 3 個のリンゴが 5 皿あるから「3 × 5」と立式するのが正しく、「5 × 3」ではだめなのだそうですが、果た…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 3)

群 を単位半群(モノイド)とし、 を単位元とします。もし、次の法則が成り立つならば、 は群であると言います。 任意の に対し、 によって定まる の元 があって を満たす。 を の逆元と言います。 全変換半群と対称群 を集合とするとき、 から自身への写像の…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 2)

結合則と可換性、単位元 を代数系とし、 とします。また、 を と書きます。 が任意の について成り立つとき、この代数系は について結合的であると言います。特に が について結合的であるとき、 は について半群であると言います。 が任意の について成り立…

自然数から整数へ、そして有理数へ(その 1)

以前、集合論の公理系を用いて自然数の集合 を定義し、その上に加法と乗法という算法を定義しました(べき乗も定義しましたが、今回は特に使いません)。今回は、それを拡張して整数と有理数を構成してみます。 代数系 を集合とし、 を の部分集合とします(つ…

カオス現象(その 3・最終回)

いきなりですが次の画像をご覧ください。これは先程と同じ を、 を 3.8 から 3.9 まで 刻みで動かして同じように挙動を調べたものです。くっきりと 3 周期点が見えますね。実はこの周期 3 こそが全ての(とまでは言いませんが)正体です。一般に、離散力学系 …

カオス現象(その 2)

前回導き出した漸化式 がどんな挙動をするのか、論より証拠、次の画像を見てください。これは、初期値を として、横軸に を取り 0.001 刻みで動かし、十分大きい から先の の値を 100 個プロットしたものです。最初のうちはある値に収束していくことが見てと…

カオス現象(その 1)

… (*) という微分方程式を考えてみます。これは 1 階の微分方程式で変数分離形なので解析的に解くことができます。実際、初期値を とすると となります。ところで、(*) を Euler 法で近似的に解くことを考えてみましょう。微小の刻み幅 を固定して考えると …

有限値に収束するが、微分が収束しない関数

級の関数 があって のとき、直感的には になりそうな気がします。しかし とおくと生憎そうはなりません。 ですが で、 の項が収束しない(強制振動)ので、 とならないのです。直感に頼ると痛い目にあうという好例でした。

共分散の落とし穴

二つの確率変数 X , Y が独立なら、共分散 は 0 になりますが、共分散が 0 だからといって独立になるかというとそうではありません。例えば X を標準正規分布に従う確率変数とし、 とおきます。このとき なので ですが、明らかに X と Y は独立ではありませ…

三角関数の問題

は方程式 の解で とする. このとき の値を求めよ. という問題を某所で教えてもらったのでちょっと解いてみました。まず方程式を と変形し、 を満たす を用いて とします。 なので、これを満たすのは のみです。したがって となります。これを に代入すると …

f(x + y) = f(x) + f(y) を満たす関数

タイトルのような関数で連続なものは ( は定数)しかありませんが、連続の代わりに … (*) という条件を付けても同じ結果が得られます。まず、 ならば、 とおいて、任意の有理数 に対して となることが分かります。さて、(*) の条件を付け加えます。任意の実数…

三角加法関数展開形

を加法定理を用いて展開すると、 の 変数の多項式になりますが、その一般形を探ってみたら面白いのではないか、という話を、先日知り合いの方と話していました。例えば となります。一般に とすれば となるので、この漸化式をもとに一般形は求められそうな気…

待ち行列理論(その 7・最終回)

型待ち行列(まとめ) ランダム到着・ランダムサービス(客の到着間隔とサービス時間が共に指数分布に従う)における諸結果をまとめておきます。 ただし の意味 は と だけで表すことができます。実際 ただし となります。ところで は、「列に並び始めてからサー…

待ち行列理論(その 6)

型待ち行列(続き) が具体的にわかったので を具体的に求めてみましょう( の式の形に注意 !)。 はちょっと技を使います。 従って については、単一窓口の場合と同じくリトルの公式 が成り立つので が成り立ちます。 単一窓口のときと同様に が成り立っていま…