2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

集合論の公理系(その 6)

和集合公理 和集合公理 この公理は、与えられた「集合からなる集合」に対して、それらの集合の要素を全ての要素とする集合(和集合)の存在を主張します。このような y はやはり一意的に定まり、それを で表します。特に のことを と書きます。 べき集合公理 …

集合論の公理系(その 5)

対公理 対公理 外延公理により、このような集合 z はただ一つしかありません。この公理によって x , y が与えられたときにその存在が保証される集合を と書きます(対集合)。特に のことを と書き、x のシングルトン(singleton)と言います。定義より直ちに が…

集合論の公理系(その 4)

さて、先刻の予告どおり、集合論の公理系の紹介を再開します。前回から一週間開きましたが、記号論理には慣れていただけたでしょうか ? 外延公理 外延公理 ここで、本来は x , y も全称記号で閉じて と書くべきですが、それを省略して書いています。こういっ…

Bessel 型の微分方程式に…

なる微分方程式を、Bessel 型の微分方程式に帰着させる計算をひたすらゴリゴリ。ヒントは とのこと。 まず、1 時間くらい計算してみる。…合わない。どうやっても合わない。「ヒント間違ってんじゃねぇかゴルァ」と叫びたいところを抑えて…。 「マァ茶でも飲め …

集合論の公理系(その 3)

何事も練習ですので、ここで述語論理の公理系を用いる練習を二つほどやっておきましょう。 練習 1. 公理 2 を以下の形に書き換えます。 公理 3 とモーダス・ポーネンスから … (1) です。また、再び公理 2 を書き換えて … (2) です。公理 4 を書き換えて また…

集合論の公理系(その 2)

集合論の公理系をやる前に、述語論理の公理系を先に述べておきます。 一階述語論理の公理系と推論規則 一階述語論理は、以下の公理系と推論規則を持ちます。 公理系 ただし t は定数記号、あるいは x 自身、もしくは、x とは異なる変数 y であって、限定作用…

集合論の公理系(その 1)

前回までで圏論を軽く(?)紹介しましたが、ここで改めて(?)、集合論を公理的に見直してみましょう。今回は準備に留め、本格的に公理系を述べるのは次回以降にしたいと思います。 記号系と形成規則 今、集合論を公理的に扱うために、いくつかの記号を用意しま…

圏論への誘い(その 14・最終回)

部分圏の極限 が の部分圏であるとき、包含関手 の極限・余極限をそれぞれ と表すことにします。 極限・余極限の例 最後に、いくつかの極限・余極限の例を挙げて、この話題を締めくくりたいと思います。 0 を空圏(対象も射も存在しない圏)とします。これは任…

圏論への誘い(その 13)

左随伴と右随伴は双対である 関手 が与えられたとき、それは反変関手 を与えますが、(すなわち )、(すなわち ) に対して とは のことですから です。同様に なので となり、結局(共変)関手 が与えられたことになります。 さて、 が の左随伴関手であるとき、…

圏論への誘い(その 12)

圏 今、集合からなる集合*1 V の全ての要素を対象とし、それら集合間の全ての写像を射とする圏を考えることが出来ます。これを で表します。V がユニバースであるとき、 です。一般には、V を固定して考えないので単に と書きます。これはある固定された圏で…

円積問題

さて、前回 が超越数であることを証明しました。この事実から、「与えられた円と同じ面積の正方形を作図すること」という作図問題の不可能性が証明できます。 与えられた円の半径は、仮に 1 であるとして問題ありません。すると、与えられた円の面積はちょう…

π の超越性(後編)

続きです。ここから先は、e の超越性を示すために用いた二つの補題が使えます。 素数 p を とし、 とおきます。 と書けることに注意。前回の最後の (2) 式に を掛けて補題 1 を使うと となります。ただし です。まず と表せます。ここに は の対称整多項式だ…

π の超越性(前編)

次は の超越性です。それを示す前に、下準備をしておきます。 を整係数の方程式 の根の全体とするとき、解と係数の関係から分かることとして、 の任意の対称整多項式は の整多項式であり、従って整数となることに注意します。 さて、 が代数的であるとすると…

e の超越性(後編)

続きです。 補題 2 、f(x) を x の整多項式とし、 とすると、 は整数で、 (証明) は整数で とすると より であるが、 のとき は m の倍数であるから である。同様に より が成り立つ。 いよいよ e の超越性を示します。e が超越数でなければ、 と なる整数 …

e の超越性(前編)

まず始めに なる記号を導入しておきます。これは「h の r 乗」ではなく、あくまでも記号であることに注意してください。また、多項式 に対して と定義します。また と定義します。 ならば です。 さて、 に対し と定義します。このとき簡単な計算で が分かり…

今後の方針など

目下のところ、皆さんに圏論を紹介すべく記事を書いてきましたが、ここでまた小休止を入れて、明日と明後日で Napier の定数 と の超越性の話をしたいと思います。 実を言うと、それの参考にする予定で借りてきた本の返却期限が 3 日後に迫ってるんです(^^;)

圏論への誘い(その 11)

関手の例 基本群 基点付き位相空間とその間の連続写像からなる圏 を考えます。この圏の対象は、位相空間 X と、その基点 からなる組 で、射 とは、f が連続写像でかつ であるもののことを言います。 このとき、 に対して、その基本群 を対応させることは、圏…

圏論への誘い(その 10)

いよいよ二つの圏を結びつけるもの・関手(functor)を定義します。 共変関手・反変関手 圏 に対して、 に対して を、また、 に対して を対応させるもので を満たすものを から への共変関手(covariant functor)と言います。また、二つ目の条件を に変えたもの…

圏論への誘い(その 9)

圏論に戻ります。 双対圏 圏 が与えられたとき、その双対圏(dual category)(もしくは逆圏(opposite category)) を、以下のように定義することができます。 まず、 の対象とは の対象です。そして、 のとき で定義します。つまり、 における a から b への射…