2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

Fermat の最終定理に挑む(その 8)

単数と同伴数 さて、一般に、可換環 R と、その元 a に対して、ab = 1 となる が存在するとき、a を R の単数と言い、単数の全体を U(R) で表します。 また、 に対して となる単数 があるとき、a と b は互いに同伴数であると言います。 の単数 二次体の整数…

Fermat の最終定理に挑む(その 7)

以下は、あまり一般論を述べても仕方がないので具体論に入ります。 二次体 の整数環 二次体 の整数は により , の形をしていることが分かります。ここで とおくと となりますが、ここで は、よく知られている 1 の(虚)三乗根です。従って、二次体 の整数環は…

Fermat の最終定理に挑む(その 6)

以下、 の元を「有理整数」と言うことにします。 トレースとノルム 二次体 は Galois 拡大です。そこで、その Galois 群 の単位元でないものを とおきます。このとき、簡単な考察により に対して となります。この を の共役と言います。また を、それぞれ …

Fermat の最終定理に挑む(その 5)

そもそも二次体とは ? L を二次体とします。このとき、L は 上の二次のベクトル空間ですから、L の元 x は、ある (もちろん ) を用いて () と表せます。そこで、 の最小多項式を とすると のいずれかですが、このとき となるような有理数 r、及び、平方因子…

Fermat の最終定理に挑む(その 4)

n = 3 の場合(歴史) n = 3 の場合については、オイラー(Euler)によって 1770 年に証明されました。この証明には一部 gap があることがランダウ(Landau)らによって指摘されましたが、その gap にあたる部分は Euler 自身が 1760 年に証明を与えていたことが、…

Fermat の最終定理に挑む(その 3)

n = 4 の場合 まず最初に、Fermat 自身が証明したとされる n = 4 の場合について考えましょう。 そこで用いられるアイデアは無限降下法と言われるものです。 まず、 なる自然数解があれば なので、 … (*) なる方程式に自然数解が存在することになります。従…

Fermat の最終定理に挑む(その 2)

ピタゴラス数 いきなり最終定理に挑む前に、n = 2 の場合、すなわち … (*) を満たす自然数解について考えて見ましょう。そのようなものは無限に存在し、それらはピタゴラス数(pythagorean number)と言われます。ピタゴラス数は、具体的に表すことが出来ます…

Fermat の最終定理に挑む(その 1)

少し予定を変更して、圏論を始める前に、フェルマー(Fermat)の最終定理にまつわる話をしたいと思います。 フェルマーの最終定理とは n が 3 以上の自然数のとき を満たす自然数解 (x,y,z) は存在しない というものです。 n は奇素数、または 4 と仮定してよ…

生存報告と今後の予定など

えーと。とりあえず生きてました。しばらく数学からは離れてましたが。 今後の予定ですが、来月を目処に、真剣にトポスの勉強などしつつ、圏論の基礎的なことを連載形式でここで紹介していきたいと思います。具体的な圏としては集合と写像の圏、群と準同型の…