n = 4 の場合
まず最初に、Fermat 自身が証明したとされる n = 4 の場合について考えましょう。
そこで用いられるアイデアは無限降下法と言われるものです。
まず、
なる自然数解があれば
なので、
… (*)
なる方程式に自然数解が存在することになります。従って、(*) に自然数解がないことを示せば良いことになります。
なので、x と y の少なくとも一方は奇数です。このとき、必然的に u は奇数となり、また、x と y は、一方が奇数でもう一方は偶数になります。
そこで、x が偶数、y が奇数であると仮定して一般性を失いません。すると、前回の話から
なる a , b が存在します。a が偶数で b が奇数であるとすると となって矛盾するので、a が奇数で b が偶数です。そこで b = 2c とおくと
となるので
となる d , f が存在します。このとき
となるので、整理して
が成り立ちます。最後の部分については、 なので
ということですが、これは により 、従って により従います。かくして、再び前回の話から
なる l , m が存在します。従って により
なる r , s が存在して
が成り立つことになります。ところで
なので、(*) を満たす解で、u がより小さいものが取れることになります。この論法は無限に繰り返すことが出来ますが、u は自然数なので 1 より小さくすることは出来ず、矛盾が生じます。
かくして命題は証明され、n = 4 の場合に Fermat の最終定理が正しいことが分かりました。