Fermat の最終定理に挑む(その 3)

n = 4 の場合

まず最初に、Fermat 自身が証明したとされる n = 4 の場合について考えましょう。
そこで用いられるアイデア無限降下法と言われるものです。
まず、
x^4+y^4=z^4,\gcd(x,y)=1
なる自然数解があれば
x^4+y^4=(z^2)^2
なので、
x^4+y^4=u^2,\gcd(x,y)=1 … (*)
なる方程式に自然数解が存在することになります。従って、(*) に自然数解がないことを示せば良いことになります。
\gcd(x,y)=1 なので、x と y の少なくとも一方は奇数です。このとき、必然的に u は奇数となり、また、x と y は、一方が奇数でもう一方は偶数になります。
そこで、x が偶数、y が奇数であると仮定して一般性を失いません。すると、前回の話から
x^2=2ab,y^2=a^2-b^2,u=a^2+b^2,
a>b>0,\gcd(a,b)=1,a+b\equiv 1\pmod{2}
なる a , b が存在します。a が偶数で b が奇数であるとすると y^2\equiv -1\pmod{4} となって矛盾するので、a が奇数で b が偶数です。そこで b = 2c とおくと
(\frac{x}{2})^2=ac,\gcd(a,c)=1
となるので
a=d^2,c=f^2,d>f>0,\gcd(d,f)=1
となる d , f が存在します。このとき
y^2=a^2-b^2=d^4-4f^4
となるので、整理して
(2f^2)^2+y^2=(d^2)^2,\gcd(2f^2,y)=1
が成り立ちます。最後の部分については、2f^2=b なので
\gcd(b,y)=1 ということですが、これは \gcd(x,y)=1 により \gcd(x^2,y)=1、従って \gcd(2ab,y)=1 により従います。かくして、再び前回の話から
2f^2=2lm,y=l^2-m^2,d^2=l^2+m^2,
l>m>0,\gcd(l,m)=1,l+m\equiv 1\pmod{2}
なる l , m が存在します。従って f^2=lm,\gcd(l,m)=1 により
l=r^2,m=s^2,r>s>0,\gcd(r,s)=1
なる r , s が存在して
d^2=l^2+m^2=r^4+s^4
が成り立つことになります。ところで
d\le d^2=a\le a^2<a^2+b^2=u
なので、(*) を満たす解で、u がより小さいものが取れることになります。この論法は無限に繰り返すことが出来ますが、u は自然数なので 1 より小さくすることは出来ず、矛盾が生じます。
かくして命題は証明され、n = 4 の場合に Fermat の最終定理が正しいことが分かりました。