ピタゴラス数
いきなり最終定理に挑む前に、n = 2 の場合、すなわち
… (*)
を満たす自然数解について考えて見ましょう。そのようなものは無限に存在し、それらはピタゴラス数(pythagorean number)と言われます。ピタゴラス数は、具体的に表すことが出来ます。以下、それを示しましょう。
まず、x と y がともに奇数であるとすると、 なので
となり矛盾します。従って、どちらか一方は偶数となるので、x が偶数であるとして一般性を失いません。そうすると、y と z はともに奇数となり、また x と y が互いに素なので、y と z も互いに素です。
このとき、 はともに整数、特に自然数で、なおかつ互いに素です。実際 y と z が互いに素なので
を満たす整数 p , q が存在し、
となるから。
そこで (*) 式を変形すると
となるので、上記のことと素因数分解の一意性から
となる互いに素な整数 a , b が存在することが分かります。またこのとき
が分かります。従って
なる一般解を得ます。逆に x , y , z がこの形であれば
であり、 とすると により
が成り立ちます。故に
となり、 により または のいずれかでなければなりませんが、
により y が奇数であることが分かるので となり、一般解はこの形に限ることが分かります。