2006-09-26 Fermat の最終定理に挑む(その 1) 数学・代数 少し予定を変更して、圏論を始める前に、フェルマー(Fermat)の最終定理にまつわる話をしたいと思います。 フェルマーの最終定理とは n が 3 以上の自然数のとき を満たす自然数解 (x,y,z) は存在しない というものです。 n は奇素数、または 4 と仮定してよい この問題は、n が奇素数、または 4 の場合に示すことが出来れば十分であることは、すぐに分かります。 実際、n が素数でなくて、ある奇素数 p で割り切れるならば と書けるので は となり、 に自然数解が存在しなければ にも自然数解が存在しないことが、対偶を取ることによって分かります。 それ以外の n については 4 で割り切れるので と書け、 は となり、 に自然数解が存在しなければ にも自然数解が存在しないことが、対偶を取ることによって分かります。 x と y は互いに素であると仮定してよい に自然数解が存在すると仮定して、 としましょう。このとき と書けるので ですから、 は で割り切れます。従って、素因数分解の一意性から z が d で割り切れることになります(後で詳しく解説)。従って と書くことが出来て、なおかつ が成り立ちます。 さて、先ほど端折った部分をちょっと丁寧にやってみましょうか。 z の素因数分解 により . 一方、d の素因数分解 により (ただし の中には、 のどれかに一致するものがあってよい). 従って、素因数分解の一意性により は全て n の倍数となり、 は d で割り切れる。