五つの補題
先日の予告どおり、まずは五つの補題を示します。
補題 1
単数 が 5 を法として有理整数と合同であるための必要十分条件は である。
(証明)
故
… (1)
である。また
故
… (2)
である。
さて とすれば、 となる有理整数 が存在する。 ならば (1) の両辺を 乗して
であり、 ならば (2) の両辺を 乗して
である。また のときは であるから明らかである。
逆に がある有理整数に合同であるとして、 とすると
であり、 に注意して
である。右辺がある有理整数に合同であるから、この関係式を満たす r は よりない。従って が成り立つ。
補題 2
となる必要十分条件は である。
(証明)
ならば となる有理整数 が存在するので
である。逆に ならば、補題 1 により となる有理整数 が存在する。 とおくと
であるから、 とならなければならない。 とすれば
だから 、よって を得る。
補題 3
単数 が次の条件を満たすとする。
- は単数である。
このとき となる。
(証明)
… (*)
で は実数であるから である。実際
。
の共役をそれぞれ で表すとき、(*) により
であるから 。ゆえに である。
とおくと、条件 1 により であるから、補題 2 により 。故に とおけるので
である。従って 。これを用いて を計算すると
となるので、これを に代入すると
となる。 により であるから、この式により
,
すなわち
を得る。これは に関する 4 次方程式であり、これを解くと
,
すなわち を得るが、この中で条件 1 を満たすものは のみであるから結論を得る。