2009-01-01から1年間の記事一覧

射影平面(その 2)

Affine 平面の完備化 自然数 に対して、n 次の Affine 平面というものを作りました(全ての に対して存在するとは限りません)。これに「完備化」と呼ばれる作業を施して、射影平面を作ってみます。A を n 次の Affine 平面とするとき、互いに平行な n 本の直…

射影平面(その 1)

以前、Affine 平面を話題に取り上げましたが、今回はその拡張である射影平面を取り上げることにします。 射影平面の公理 公理 1 異なる 2 点を通る直線はただ一つ存在する. 公理 2 異なる 2 直線は必ず交わる. 公理 3 同一直線上にない 3 点が存在する. 公理…

p-群の性質

p-群の分類上重要な性質として p を奇素数とするとき、位数 の群が位数 の部分群をただ一つしか持たなければ、それは巡回群である というのがあって、証明がこちらの書籍に載っています。バーンサイド 有限群論 (現代数学の系譜 9)作者: W.S.BURNSIDE,吉田洋…

位数 2pq (p < q : 奇素数)の群の分類改訂

ちょいちょい書き変えてます(苦笑)。位数 2pq では、Sylow q-部分群が必ず正規です。正規でないとすると 2p 個の Sylow q-部分群があることになりますが、ここから矛盾が導けます(詳しくはサイトに up している PDF ファイルを見てください)。これにより、位…

位数 60 の群の分類改訂

サイトに up している有限群の分類のうち、位数 60 のところを大幅に改訂しました。位数 60 = では、まず Sylow 5-部分群 N に着目します。これが非正規であることと、位数 60 の群が単純であることとは同値になります。N が正規のときは、次にそれを含む位…

位数 p^4 (p : 奇素数)の群の分類終了

PDF を再 up しました。Burnside 本ありがとう !

位数 p^4 (p : 奇素数)の群の分類進捗状況

とりあえず、残ったのは位数 の元を含まない、すなわち全ての元の位数が p であるような非 Abel 群の分類となりました。再 up 出来るのも時間の問題です。さすが Burnside 本。

位数 16 の群、復活 !

有限群の分類の PDF に位数 16 の群が復活しました。最初はとんだ計算違いでしたが、再考の末、今度こそ自信を持って送り出せるものができました。同型類も 14 個と少ないので、何とか決着をつけられて良かったです。後は位数 (p : 奇素数)の群ですな。

位数 p^4 の群の分類について

どうやら私の中で思い違いがあり、位数 の群の分類は正しくないことを書いていたようです。サイトにアップしている PDF ファイルも一旦該当部分を削除しました。もう一度きちんと計算し直して再度アップできればと思っています。さて、どこで間違ったのやら……

p-群の性質執筆中

群論教科書計画、p-群の性質で必要最低限と思われるものを書き終えました。多分まだ足りない(位数 の群を分類するのにもう少し知識が必要なはず)ので、Burnside の本を引っ張り出す必要が出てきそうです。先は長いけど見通しは立ってきました。

有限 Abel 群の基本定理執筆完了

群論教科書計画、有限 Abel 群の基本定理まで終わりました。次に何を書くかが悩ましいです。対称群・交代群について書くか、p-群を掘り下げるために作用域を持つ群の話をするか…。

Sylow の定理執筆完了

執筆中の群論の教科書の、Sylow の定理の部分を書き終えました。ここで「次は何 ?」となると、当面の目標は有限 Abel 群の基本定理かな ? と思うのですがいかがでしょうか ? いずれにせよ、先は長いです。

集合論 - 独立性証明への案内

集合論―独立性証明への案内作者: ケネスキューネン,Kenneth Kunen,藤田博司出版社/メーカー: 日本評論社発売日: 2008/01/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 30回この商品を含むブログ (11件) を見るかがみさんが「名著・名訳」と言っていた一冊です。先…

群論の「基礎」はどこまで ?

久しぶりでございます。現在、有限群の分類を題材にした群論の教科書的なものを執筆していますが、群論の「基礎」をどこまでとするかで悩んでいます。Sylow の定理などは有限群の分類では欠かせない物で、群論の中でも「基本」の定理なのですが、その証明に…

距離空間から位相空間へ(その 7・最終回)

最後に、写像の連続性について見てみます。 距離空間 に対し とおくと、写像 が で連続であるとは のことでした。これを書き直すと となり、基本近傍系を用いて と一般の位相空間に一般化できます。さらに基本近傍系の性質から と一般化しても同じことである…

距離空間から位相空間へ(その 6)

基本近傍系 前回、近傍系(= 近傍の全体) を定義しましたが、これに対する基本近傍系 とは、任意の に対して となる が存在するものを言います。例えば を含む開集合の全体 距離空間 における などが基本近傍系になります。一般に基本近傍系は 全ての につい…

距離空間から位相空間へ(その 5)

内部作用子、閉包作用子による位相の定義 位相空間における集合の内部と閉包について述べましたが、逆に、内部の性質 2 〜 4*1を満たすような、集合 M に を対応させる作用子(内部作用子)を定めることで、やはり位相空間が得られます。そのとき、開集合は内…

距離空間から位相空間へ(その 4)

位相空間における内部と閉包 位相空間 X の任意の部分集合 M は必ず なる開集合を含みます。したがって、M に含まれるありとあらゆる開集合の和集合というものを考えることができます。これが M に含まれる最大の開集合であることは異論がないでしょう。これ…

距離空間から位相空間へ(その 3)

事態を一般化して、集合 X の部分集合の系で、次の性質をみたす集合系 が与えられていたとしましょう。 ならば ならば このような集合系 が与えられた集合 X を位相空間といい、 を X の開集合系と言います。また、 の要素であるような X の部分集合のことを…

距離空間から位相空間へ(その 2)

開集合の性質 距離空間 X の開集合には次の著しい(?)性質があります。 は開集合 が開集合ならば も開集合 が開集合ならば も開集合 が開集合なのは約束事とも言えますが、定義からも示せます。残る二つの性質を示すのは難しくないでしょう。 閉集合が開集合…

距離空間から位相空間へ(その 1)

今回は、距離空間の性質を一般化して位相空間を定義する方法を見ていきます。 距離 X を集合とするとき、 が距離であるとは (三角不等式) が成り立つことを言います。距離 d が与えられた集合 X を距離空間といいます。例えば、実数や複素数なら絶対値を用い…

I 進位相

A を可換環とし、I をそのイデアルとするとき、 を 0 の基本近傍系とする位相が定まり、A はこの位相に関して、和・積ともに連続となる(位相環)。この位相のことを A の I 進位相という。また、M を A 加群とするとき、 を 0 の基本近傍系とする線型位相は和…

ポントリャーギン「連続群論」

結局、今年は気の利いたエイプリルフールネタは思いつきませんでした。 その代わりと言っては何ですが、上下巻揃 3,150 円という安さに負けて、収入もないくせにポントリャーギン「連続群論」を某古書店にて注文してしまいました。 …こういうことばっかりし…

加群の完備化(help)

前回の記事、自分で書いておいてアレですが、かなり怪しいです。「完備化」と称して定義したものが本当に完備なのか、全く分かりません。そもそも、自然な写像 が連続なのかどうかも分からないし、さらに が で稠密であることも示せていません。 どなたか、…

加群の完備化

A を可換環とし、M を A 加群、 を有向集合、 を M の部分 A 加群の族で が成り立っているものとする。このとき の基本近傍形を にとることで M が位相群となることは前回示したが、ここで ならば、自然な群準同型 が存在するから、A 加群の射影系 が存在す…

位相群の基本近傍形について

G を群、 を有向集合、 は G の正規部分群の族で を満たしているものとする。このとき任意の に対して だから、単位元 の基本近傍形を と定めれば、G は位相群になる。このとき、各 は開集合になる。なぜならば、 ならば だから *1 となるから。一方で、各 …

直角三角形の面積と楕円曲線の関係(その 3・最終回)

前回からの続きです。三つのステップのそれぞれを証明していきます。 (Step 1 の証明) が を満たせば、 も を満たし、かつ だから、 として良い。すると だから . (Step 2 の証明) とし と既約分数表示する。もし m , n がともに奇数とすると、 とおけば だ…

直角三角形の面積と楕円曲線の関係(その 2)

前回、辺の長さが有理数で、面積が d である直角三角形の存在と、楕円曲線 が 以外の有理点を持つこととが同値であることを示しました。 さて、こんな話をして、結局何が言いたいのかというと、目的は、Fermat が Diophantus「数論」の余白に書いた第 45 の…

直角三角形の面積と楕円曲線の関係(その 1)

今回は、直角三角形の面積と楕円曲線の間にある不思議な関係をご紹介します。 まず、三辺の長さが全て有理数である直角三角形を考え、その面積が d であるとします。そのような集合を とおきます。このとき と 三項は全て有理数の平方で、かつ公差が d であ…

三角形の 3 傍接円から二次曲線

三角形の各傍接円が、各辺の延長部分と接する接点、計 6 点が同一二次曲線上にある。証明はまだ出来ていません。どうやって Pascal の定理に持ち込むか…?