距離空間から位相空間へ(その 3)

事態を一般化して、集合 X の部分集合の系で、次の性質をみたす集合系 \mathcal{O} が与えられていたとしましょう。

  1. \emptyset,X\in\mathcal{O}
  2. O_\lambda\in\mathcal{O}(\lambda\in\Lambda) ならば \bigcup_{\lambda\in\Lambda}O_\lambda\in\mathcal{O}
  3. O_1,O_2\in\mathcal{O} ならば O_1\cap O_2\in\mathcal{O}

このような集合系 \mathcal{O} が与えられた集合 X を位相空間といい、\mathcal{O} を X の開集合と言います。また、\mathcal{O} の要素であるような X の部分集合のことを開集合と言います。
これは、距離空間の開集合が満たす性質を抽出して一般化したものです。このようにすることで、距離のような具体的な値によらずに点と点の結びつき具合を表現することができるのです。
補集合が開集合となるような集合を閉集合と言います。これも、距離空間で成り立っていた性質を一般化したものです。なお、上記のような開集合系を与える代わりに

  1. \emptyset,X\in\mathcal{A}
  2. A_\lambda\in\mathcal{A}(\lambda\in\Lambda) ならば \bigcap_{\lambda\in\Lambda}A_\lambda\in\mathcal{A}
  3. A_1,A_2\in\mathcal{A} ならば A_1\cup A_2\in\mathcal{A}

となる集合系 \mathcal{A} (閉集合)を与えても、同じように位相空間が得られます。