2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

半群

集合 S の上に「積」と呼ばれる演算 φ : S × S → S が定義されているものとします。 と書くことにして、S 上の演算が結合法則 を満たすとき、S は半群であると言います。ところで、ちょうど 2 個の元からなる(つまり、位数 2 の)半群は、実は 4 種類あります…

数学掲示板の話。

「よく質問される問題」に 2 問追加。余りに頻度が高いので、解答を作ってしまいました。本音を言えば「いちいち回答すんの面倒くさいんじゃ、これでも読んどけやゴルァ !!」なんですが(^^;) 最近、私が作った有限群の分類に関する PDF ファイルが引用される…

ポアンカレ予想を困難にさせていたもの(続き)

先日の記事に頂いたコメントに、この場を借りてお返事。 id:kai-kimiyoshi 様 Whitehead の定理とは、この文脈では X , Y を高々 n 次元の多面体とし、f : X → Y を連続写像とする。f が導くホモトピー群の準同型写像 が に対して同型であるならば、f はホモ…

ポアンカレ予想を困難にさせていたもの

ポアンカレ予想(Poincaré conjecture)とは、位相幾何学の用語を用いると「単連結な 3 次元多様体は 3 次元球面に同相である」というものです。基本的な用語の定義を知っていれば、この予想の言おうとしていることはわかるはずです。 ところが、その証明には…

大数の法則

表が出ることと裏が出ることが同様に確からしいコインを投げるとき、表が出る確率、裏が出る確率はともに 1/2 です。従って、コインを 2 回投げたとき、表が 2 回出る確率は 1/4。そう簡単に表と裏が 1 回ずつ出てくれるとは限りません。 しかし、1000 回中 …

数学的帰納法は帰納的 ? 演繹的 ?

今日、数学掲示板にて「数学的帰納法は帰納的か演繹的か」という質問を頂きましたが、私はこの手の話に詳しくないので、良くわかりません。どなたか偉い人が降臨するのを待つよりありません。 的外れかもしれませんが、 … (*) を数学的帰納法で証明するなら…

「解析的定義」とは ?

以前も話題にしましたが、高校数学では を幾何的な直感に基づいて証明しています。これに対して、そのような直感を排し、数の性質のみに基づいて論ずることが出来る言葉だけを用いて概念を定義する手法を「解析的定義」という言い方をします。例えば「解析入…

数学を難しくさせているもの

数学を難しい学問だと思い込ませている一つの要素は、やはり独特の「記号」ではないでしょうか。積分記号とか、見るだけでも蕁麻疹が出る、という人もいるのではないでしょうか。 私に言わせれば、記号なんてただの飾りです*1。微分も積分も、その概念は非常…

方眼紙に 3 cm² の正方形は描けない

1 cm マスの方眼紙に、(目盛のない)定規とペンだけ(コンパスは使ってはいけません)で面積が 3 cm² の正方形は描けるでしょうか ? 答は「No.」です。 方眼紙に引かれた線の交点を格子点と見るとき、座標が有理数であるような点は作図することが出来ます。従っ…

臭いの速度は無限大

偏微分方程式の一つである熱方程式 on ですが、実は臭いの拡散についても同じ方程式が成り立つことが知られています。そして、熱方程式の特徴は、初期値として を満たすような φ を取ると on が成り立つところにあります。これは、同じく偏微分方程式として…

身近なところにある剰余類

整数をある数で割った余りによって、整数全体を分類する「剰余類」の考え方は、実は極々身近なところで使われています。 お手元のカレンダーを見てください。日付を 7 で割った余りが同じ日は、同じ曜日ですよね。これは日付という整数を 7 で割った余りで日…