「解析的定義」とは ?

以前も話題にしましたが、高校数学では
\lim_{x\to 0}\frac{\sin x}{x}=1
を幾何的な直感に基づいて証明しています。これに対して、そのような直感を排し、数の性質のみに基づいて論ずることが出来る言葉だけを用いて概念を定義する手法を「解析的定義」という言い方をします。例えば「解析入門 原書第3版」(S. ラング著、松坂和夫・片山孝次訳、岩波書店)においては、三角関数を、
f'(x)=g(x),g'(x)=-f(x),f(0)=0,g(0)=1
という(連立)微分方程式の初期値問題の解として定義し、三角関数の諸性質を導いていきます。
また、私自身も、対数関数を積分を用いて
\log x=\int_1^x \frac{dt}{t}
と定義し、諸性質を導く作業をまとめ、自サイトで公開しています。
もちろん、直感に訴えることも重要ですし、ヒルベルトが提唱した公理的手法には批判の声も相次ぎました。それでも、敢えて直感を排し、論理的に議論を積み重ねていく作業は決して無駄ではなく、論理的思考能力を鍛えることにもつながります。