2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

買いたいけど…

数論入門〈1〉 (シュプリンガー数学クラシックス)作者: G.H.ハーディ,E.M.ライト,Godfey Harold Hardy,Edward Maitland Wright,示野信一,矢神毅出版社/メーカー: シュプリンガー・フェアラーク東京発売日: 2001/07メディア: 単行本 クリック: 11回この商品を…

Riemann の zeta 関数(その 3・最終回)

の積分表示と とします。このとき、複素平面内の正の実軸 の補集合の上で と定義し、右上の図のように積分経路 C を取ります(順路は反時計回り)。このとき と積分を用いて表示することが出来ます。ところが、この右辺の積分表示は、実は で定義できることが…

Riemann の zeta 関数(その 2)

ベルヌーイ数と は で正則な関数なので、この範囲で Taylor 展開できます。それを としておきます。 かつ であることから、各 を求めることが出来ます。その一方で は偶関数なので、 が成り立ちます。以下 とおくと となることが分かります。この をベルヌー…

Riemann の zeta 関数(その 1)

今回は、圏論をちょっとお休みして、Riemann の zeta 関数のお話をしたいと思います。Riemann の zeta 関数とは で定義され、これは と表すとき、 で収束し、正則関数となります。 と素数の関係 p を素数とします。我々は のとき という級数展開が出来ること…

圏論への誘い(その 8)

ファイバー積と双対ファイバー積 対象 と、射 に対し、 のファイバー積(fiber product)とは、 で、以下の性質を満たすもののことを言います。 で を満たすものが存在するならば、 で を満たすものが一意に存在する このとき、上図の正方形の図式を引き戻し(p…

圏論への誘い(その 7)

核と余核 前回、差核と双対差核を定義しました。ところで、零対象が存在する圏においては、任意の二つの対象間に零射を定義することができました。これを用いて、射 に対して、 を核(kernel)、 を余核(cokernel)と言います。 ところで、圏 には零対象が存在…

圏論への誘い(その 6)

差核と双対差核 圏 の対象 と、射 を固定します。このとき が で なるものが存在すれば、 で を満たすものが一意的に存在する の二つの条件を満たすとき、 と の差核(difference kernel)または等化(equalizer)であると言います。 またこのとき、対象 のこと…

圏論への誘い(その 5)

直積と直和 圏 の二つの対象 を固定します。 このとき が直積であるとは、任意の対象 と射 に対して を満たす射 が一意的に存在するときを言います。 またこのような一意的な射のことを と表します。 このような性質を満たす対象を と書いたりしますが、圏の…

極値探し

d:id:rena_descarte:20060925:1159116048 にて なる関数に極値がありそうだ、という話になっていたので、今更ながら Maxima など使って計算してみました。いや、別に手計算でも良かったんですが(^^;)。

圏論への誘い(その 4)

今しばらくは、一つの圏 の中だけで話をすることにします。 単射、全射、同型射 が単射(mono)であるとは、任意の対象 と任意の射 に対して が成り立つことを言います。 が全射(epi)であるとは、任意の対象 と任意の射 に対して が成り立つことを言います。 …

圏論への誘い(その 3)

以下、「集合」「写像」は、前回までに準備した、拡張された意味で用いるものとします。 圏を構成するもの 圏(category)は、以下のようなものによって構成されます。 対象の集合 射の集合 二つの写像 恒等射を定める写像 射の合成を定める写像 、ただし 、ま…

圏論への誘い(その 2)

もう少し下準備にお付き合いください。 より拡張された意味での「写像」 を小さな集合とするとき、 の部分集合を から への対応と言いました。特に、対応 が *1] の略記です。)) を満たすとき、 から への写像と言い、 に対して となる のことを と書くので…

圏論への誘い(その 1)

いよいよ圏論の基礎についてです。今回は、その下準備的な話をしたいと思います。 小さな集合とクラス 私たちが普段数学で扱う「集合」とは、Zermelo-Fraenkel 公理系によってその性質が定められているものを言います。これを区別して「小さな集合」と呼ぶこ…

Fermat の最終定理に挑む(その 15・最終回)

では、n = 5 以降の歴史について、Wikipedia の記事なども参考にしながら見ていきましょう。 n = 7 の場合 n = 7 の場合の証明の途中経過として、n = 14 の場合に正しいことはディリクレ(Dirichlet)によって証明されました(1832 年)。 n = 7 を解決したのは…

Fermat の最終定理に挑む(番外編)

これまでは整数のお話でしたが、整数の代わりに適当な環 R を持ってきて、 なる「非自明」な解はあるのか ? というお話を少ししたいと思います。

Fermat の最終定理に挑む(その 14)

n = 5 の場合(続き) 前半で、 … (*) の解 から新しい解 を構成する方法を見ました。この方法をどんどん繰り返せば、 という関係から、 を素因数分解したときに現れる相異なる素因数の数を少なくできる可能性があります。このことから、 としては素因数分解し…

Fermat の最終定理に挑む(その 13)

以下、断りがなければ整数は における整数とし、、また とします。 n = 5 の場合 問題を変形・一般化し、さらに前回証明した補題 5 を使って … (*) は の整数を解に持たない。ただし は非負の有理整数、 は単数、 はどの二つも互いに素とする。 を示せばよい…

予定変更のお知らせ

本日、Fermat の最終定理の n = 5 の場合の証明を述べる予定でしたが、本日はもうあまり時間がないこと、明日はほぼ一日中出かける予定であることから、証明は明後日以降に述べることにしたいと思います。

Fermat の最終定理に挑む(その 12)

五つの補題 先日の予告どおり、まずは五つの補題を示します。

Fermat の最終定理に挑む(その 11)

の整数論(続き) さて、 には、もう一つ、著しい性質があります。それは、 に対し となる が存在することです。

Fermat の最終定理に挑む(その 10)

の整数論 により、 の整数は , の形をしています。 とおくと とかけるので、*1とおけば、 の整数環は と表すことが出来ます。 さて、 故、 は単数ですが、実は の単数は、全て (n は整数)の形であることが分かります。 *1:1 の虚 3 乗根と混同しないように。

Fermat の最終定理に挑む(その 9)

一通りの準備は出来ましたので、いよいよ n = 3 に挑みます。 n = 3 の場合 問題を少し拡張して … (1) なる は存在しない ことを示しましょう。 このためには、 が で(すなわち で)割り切れないならば … (*) が成り立つことを利用します。これを示すには、 …