半群

集合 S の上に「積」と呼ばれる演算 φ : S × S → S が定義されているものとします。\phi(a,b)=a\circ b と書くことにして、S 上の演算が結合法則
(a\circ b)\circ c=a\circ(b\circ c)
を満たすとき、S は半群であると言います。ところで、ちょうど 2 個の元からなる(つまり、位数 2 の)半群は、実は 4 種類あります。そして、それらは全て 2 行 2 列の行列で表すことができ、基本的に

  1. \left\{\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0&1\\0&0\end{pmatrix}\right\}
  2. \left\{\begin{pmatrix}0&0\\0&0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix}\right\}
  3. \left\{\begin{pmatrix}1&0\\0&1\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0&1\\1&0\end{pmatrix}\right\}
  4. \left\{\begin{pmatrix}1&0\\1&0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0&1\\0&1\end{pmatrix}\right\}

のどれかと同型、または反同型(積の順序が逆になるだけ)になります。
ところで、位数 2 の群は 2 次の巡回群しかありませんでした。この事実と比べると、随分と様子が違います。
このように、条件を緩めることで劇的に種類が増えるのは、数学ではごく当たり前の話で、位数 3 の半群になると 18 種類、位数 4 の半群に至っては 126 種類もあります。いずれも、位数 3 の群が 1 種類、位数 4 の群が 2 種類しかないのとは大違いです。
半群についてもっと勉強してみたい人は「復刊 半群論」(田村孝行著、共立出版)をどうぞ。