2009-04-05 距離空間から位相空間へ(その 1) 数学・解析 今回は、距離空間の性質を一般化して位相空間を定義する方法を見ていきます。 距離 X を集合とするとき、 が距離であるとは (三角不等式) が成り立つことを言います。距離 d が与えられた集合 X を距離空間といいます。例えば、実数や複素数なら絶対値を用いて と定義すれば、これは距離になります。他にも、 に対して と定義すれば、これも距離の性質を満たします(証明は省略)。 距離が定義されると、これまで実数や複素数で考えていた「収束」の概念を距離空間にそのまま持ち込むことができて、点列 が x に収束するとは と定義することができます(一般の距離空間では「発散」の概念は定義されません)。 開集合と閉集合 とおき、これを a の 近傍といいます が開集合であるとは と定義します。また が閉集合であるとは と定義します。この定義から直ちに以下の定理が導かれます 定理 1 開集合の補集合は閉集合である。閉集合の補集合は開集合である。 証明は練習問題とします。(続く)