距離空間から位相空間へ(その 5)

内部作用子、閉包作用子による位相の定義

位相空間における集合の内部と閉包について述べましたが、逆に、内部の性質 2 〜 4*1を満たすような、集合 M に M^\circ を対応させる作用子(内部作用子)を定めることで、やはり位相空間が得られます。そのとき、開集合は内部の性質 1 をみたすようなもの、と定義すれば良いことが分かります。
一方、閉包の性質 2 〜 4*2をみたすような、集合 M に \bar{M} を対応させる作用子(閉包作用子)を定めることでも、同じ位相空間が得られます。そのとき、閉集合は閉包の性質 1 を満たすようなもの、と定義すれば良いことが分かります。

近傍

位相空間 X の点 x に対して x\in V^\circ を満たす集合 V を x の近傍と言い、x の近傍全体を \mathbf{V}(x) で表します。近傍は以下の性質を満たします。

  1. 全ての V\in\mathbf{V}(x) に対して x\in V
  2. V\in\mathbf{V}(x),V\subset V' ならば V'\in\mathbf{V}(x)
  3. V_1,V_2\in\mathbf{V}(x) ならば V_1\cap V_2\in\mathbf{V}(x)
  4. 任意の V\in\mathbf{V}(x) に対して y\in W ならば V\in\mathbf{V}(y) をみたすような W\in\mathbf{V}(x) が存在する。

逆に、この性質をみたす集合系が X の各点 x に与えられたとき、O が X の開集合であることを
x\in O\Rightarrow O\in\mathbf{V}(x)
もしくは同じことですが
(\forall x\in O)(\exists V\in\mathbf{V}(x))(V\subset O)
と定義することにより位相空間が得られます。

*1:「性質」とは距離空間のところで述べたものです。

*2:これも距離空間のところで述べたものです。