今回は、直角三角形の面積と楕円曲線の間にある不思議な関係をご紹介します。
まず、三辺の長さが全て有理数である直角三角形を考え、その面積が d であるとします。そのような集合を
とおきます。このとき と
三項は全て有理数の平方で、かつ公差が d である等差数列
との間に 1 対 1 の関係があります。実際
とおくと
が互いに他の逆写像となります。これは具体的に計算すれば分かるので、特に証明の必要はないでしょう*1。
例として
[tex:(3,4,5)\leftrightarrow\left*2\in C]
が互いに他の逆写像になります。計算がやや大変ですが、実際に確かめてみてください。ここで a = d , b = 0 , c = - d とおくと、 と
との間に 1 対 1 の対応があることが分かります。ここで楕円曲線
… (*)
が現れました。つまり、辺の長さが有理数で、面積が(有理数) d に等しい直角三角形が存在するための必要十分条件は、(*) が 以外の有理数解を持つことなのです。(続く)
*1:実際には、K を標数が 2 でない体とするとき、上記の を K で置き換えてもやはり 1 対 1 の対応が作れます
*2:\frac12)^2,(\frac52)^2,(\frac72)^2\right)] などが作れます。 さて、これと楕円曲線に、いったいどんな関係があるのでしょう。それは次なる集合の対応関係から分かってきます。K を標数が 2 でない体として、a , b , c を相異なる K の元とするとき とします。 なる写像が作れることはほぼ明らかでしょう。次に B と C の間の関係をみると [tex:f:B\ni(u,v,w)\to(u^2+a+uv+vw+wu,(u+v)(v+w)(w+u