Affine 平面の完備化
自然数 に対して、n 次の Affine 平面というものを作りました(全ての に対して存在するとは限りません)。これに「完備化」と呼ばれる作業を施して、射影平面を作ってみます。
A を n 次の Affine 平面とするとき、互いに平行な n 本の直線の組が (n + 1) 個あることを見ました。そこで、これらの組一つに対して、無限遠点を新たに付け加えます。直線 l と、それに平行な直線の組からできる無限遠点を [l] で表します。無限遠点は全部で (n + 1) 個あります。
次に、これらの無限遠点全てを通る、無限遠直線 を付け加えます。これは で表すことにします。
このようにしてできたものを P(A) で表します。以下、P(A) が射影平面の公理を満たすことを確認してみましょう。
公理 1 を満たすこと
異なる 2 点 p , q がともに A 内の点なら、Affine 平面の公理により、この 2 点を通る直線がただ一つ存在します。
p , q がともに無限遠点ならば、無限遠直線が求める直線になります。
p , q のうち一方だけが無限遠点とします。q = [l] としましょう。このとき、A 内で p を通り l に平行な直線 が存在します。l と は無限遠点 q = [l] で交わりますから、 は q を通ります。これが求める直線です。
公理 2 を満たすこと
A 内の直線 l と m が交わるならば、その交点は A 内の点です。他の点で交わることはありません。l と m が平行ならば、両者は無限遠点 [l] = [m] のみで交わります。A 内の直線 l と無限遠直線 は、無限遠点 [l] のみで交わります。
公理 3 を満たすこと
A 内で同一直線上にない 3 点があります。新たに付け加えた直線は のみなので、これらは P(A) でも同一直線上にはありません。
公理 4 を満たすこと
簡単にわかるように、P(A) の直線は (n + 1) 個の点を含みます。
このように P(A) は射影平面の公理を満たすことが分かりました。これを A の完備化と言います。
P(A) は 個の点と 本の直線を持っています。この関係は重要なので、定理として書いておきます。