射影平面(その 3)

さて、n 次の Affine 平面が存在すれば、それを完備化して n 次の射影平面を作ることができました。一方、n 次の射影平面が存在すれば、そこから 1 本の直線と、その上にある (n + 1) 個の点を取り除くことによって n 次の Affine 平面を作ることができます。したがって、n 次の Affine 平面の存在と n 次の射影平面の存在は同値です。

ところで、n 次の射影平面は点の個数も直線の本数もともに q=n^2+n+1 の形をしていました。そこで射影平面の点に p_1,p_2,\dots,p_q と名前をつけ、直線にも l_1,l_2,\dots,l_q と名前をつけます。その上で、q 次の正方行列 A=(a_{ij})
a_{ij}=\begin{case}1&p_j\in l_i\\0&\text{otherwise}\end{case}
で定義します。これを射影平面出会い行列と言います。この出会い行列が持つ性質と、整数論の深い結果を用いることによって

n 次の射影平面が存在すれば、方程式
z^2=nx^2+(-1)^{\frac{n(n+1)}{2}}y^2
は非自明解(x=y=z=0 以外の解)を持つ

ことが知られています。例えば n = 6 とすると、方程式
z^2=6x^2-y^2
は自明解しか持たない*1ことがわかるので、6 次の射影平面は存在しないとわかります。また、特に n = 4k + 1 , 4k + 2 の形の場合に、n 次の射影平面が存在すれば
n=x^2+y^2
となる整数 x , y が存在するということも整数論の結果として知られています。これらのことから、少なくとも n = 6 , 14 , 21 , 22 , … の場合には射影平面は存在しないことが分かります。

実は、射影平面については

n が素数 p のべきの形でなければ、n 次の射影平面は存在しない

という予想が立てられていますが、これは未解決問題です。

*1:言い換えると、方程式 y^2+z^2=6有理数解を持たない