以下、 の元を「有理整数」と言うことにします。
トレースとノルム
二次体 は Galois 拡大です。そこで、その Galois 群 の単位元でないものを とおきます。このとき、簡単な考察により
に対して
となります。この を の共役と言います。また
を、それぞれ のトレース、ノルムと言います。
二次体の整数
さて、 が二次体 の整数であるとすれば、 は、有理整数係数の二次方程式
()
の二根である必要があります。このとき
はともに有理整数なので
もまた有理整数です。しかし、m が平方因子を持たない、という仮定から、このようなことは 2y が有理整数でないと起こりえません。
従って、二次体 の整数は少なくとも
(p , q は有理整数)
の形をしていないといけないことになります。このとき
が有理整数であることから
… (*)
が成り立つ必要があります。
Case 1. のとき
(*) により、p が奇数なら q も奇数、p が偶数ならば q も偶数。従って
,
の形のものが整数となりうる。
Case 2. のとき
q が奇数とすると (*) により矛盾が生ずるので q は偶数。従って p も偶数でなければならない。よって
,
の形のものが整数となりうる。
逆にそれぞれの場合において、上の形をしているものは確かに二次体 において 上整であることが確かめられます。以上により二次体の整数は具体的に求められたことになります。
見てお分かりの通り、 のときとそうでないときとでは、二次体の整数と呼ぶにふさわしい数の形が違っています。