型待ち行列(まとめ)
ランダム到着・ランダムサービス(客の到着間隔とサービス時間が共に指数分布に従う)における諸結果をまとめておきます。
ただし
の意味
は と だけで表すことができます。実際
ただし
となります。ところで は、「列に並び始めてからサービスを受け始めるまでの待ち時間は、平均サービス時間の何倍であるか」を示す尺度となります。例えば のときは
となるので、待ち時間は平均サービス時間の 4 倍であるとわかります。仮に平均サービス時間が 30 秒ならば、待ち時間は平均で 2 分ということになります。
今、客の平均到着率が 2 倍になった状況を考えてみます。このとき窓口を 2 つに増やせば()、 のままです。
そうすると
となるので、待ち時間は平均サービス時間の 倍に短縮されます。平均サービス時間が先程と同じ 30 秒であれば、待ち時間は (秒)となります。
実はコンピュータにおけるデュアルコアの考え方は、正にこの考え方に基づいています。これまではシングルコアのクロック周波数を高めることで PC の高速化が図られてきましたが、CPU 単体での高速化には限界があります。そこで、CPU にコアを複数搭載する、すなわちタスクの受け入れ窓口を増やすことによって、増加した処理すべきタスクの待ち時間を短縮し、PC の高速化を図ろうというわけです。待ち行列の理論は、こんなところでも活かされているわけです。
待ち行列には、まだまだ、例えば列の長さに制限がある場合や、到着分布やサービス分布が指数分布以外の場合の理論などがありますが、今回は最も基本的なものだけを紹介させていただきました。より理論を追求したい方は、専門書も出ていますので、そちらを手にとって勉強されると良いと思います。一冊だけ参考書を挙げておきます。
- 作者: 大石進一
- 出版社/メーカー: コロナ社
- 発売日: 2003/04
- メディア: 単行本
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