Radon - Nikodym の定理
いよいよ Radon - Nikodym の定理を証明します。証明は長いので数回に分けますが、まず定理の主張を述べておきます。
定理(Radon - Nikodym)
を 有限な測度空間とする。 が 上の に関して絶対連続な実測度ならば、いたるところ有限な値をとる積分可能な関数 が存在して
となる。この は、測度 0 の集合上を除いて一意に定まる。
Radon - Nikodym の定理の証明(その 1)
が正の実測度、 が有限測度の場合を考える。有理数 に対して
とおく。この の Hahn 分解において
を満たす集合 を考える。
- ならば
- ならば
である。 のとき とおくと
が成り立つから、 でなければならない。故に
とおけば である。従って、 は に関して絶対連続だから でもあるゆえ、 を に取り替えても上記 1,2 は成り立ち、なおかつ のとき となるから、初めから
ならば
であるとして良い。また
とおくと任意の に対して だから である。 は有限値だから、これが成り立つためには でなければならない。故に であり、 を で置き換えても上記 1,2 は成り立つから、そのようにすることによって
であるとして良い。さらに
とおくと任意の に対して 、すなわち だから上記 2 によって
となるので となることに注意する。ただし一般に とは限らない。
(続く)