Hahn の分解定理
補題 4 により、可測空間 と、その上の実測度 が与えられると、可測集合 で
- ならば
- ならば
を満たすものが取れることがわかりました。この を用いて
とおくと かつ
が成り立ちます。ここで は
とも表せます。当然
ですが、この意味でこの分解は一意であることがわかります。すなわち、二つの有限測度 で
で、かつ可測集合 で
が成り立つものが存在すれば となります。実際
から
… (*)
で
- ならば
- ならば
なので (*) 式の両辺は全ての に対して非負です。従って
より 。同様に
より 。従って全ての に対して
となるので 。一方、(*) 式の両辺が非負であることから となるので 。従ってまた となる。
この事実を Hahn の分解定理と言い、分解
のことを Hahn の分解と言います。また、 をそれぞれ の正部分、負部分と言います。そして
のことを の絶対変分、また を の全変分と言います。