円分多項式

代数学の体論で出てくる、「円分多項式」というものがあります。ここで、円分多項式について説明しましょう。なお、以下の内容は基本的に「代数概論 (数学選書)」(森田康夫著、裳華房)からの引用です。
その前に、まず「1 の原始 m 乗根」と言われるものについて説明しましょう。

Kを体とするとき, Kの元\zetaで, \zeta^m=1(m\in\mathbb{N})となるものを, 1 の m 乗根とよぶ. 1 の m 乗根\zetaで, 1\le d<mなる d に対しては\zeta^d\neq 1となるものを 1 の原始 m 乗根とよぶ.

つまり、1 の原始 m 乗根とは、m 乗して初めて 1 になる数のことです。そこで 1 の原始 m 乗根のひとつを\zeta_mとするとき、m 次の円分多項式
\Phi_m(x)=\prod(x-{\zeta_m}^i),(i,m)=1
で定義されます。\Phi_m(x)には以下のような性質があります。

  1. \deg\Phi_m(x)={\fs{+1}\sharp} U(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})=\varphi(m)(Euler の関数)
  2. x^m-1=\prod\limits_{\tiny{d|m}}\Phi_d(x)

さらに、\Phi_m(x)\in\mathbb{Q}[x]*1\mathbb{Q}上既約であることも知られています。

*1:実は\Phi_m(x)\in\mathbb{Z}[x]であることがわかっています。