というのは、高校数学を学び終えた人なら誰でも知っているものです。この証明は、高校数学では以下のようにやるのが一般的です。x > 0 のとき
の逆数を取って
,
この各辺にを掛けると
となるので、x → + 0 とすればというわけですが、ここで一つ問題が生じます。
この式に現れる x は言うまでもなく「弧長」です。ところが、弧長は解析的には積分を用いて定義します。そして、最初に紹介した極限
は、三角関数の微積分において重要な役割を果たします。弧長を積分で定義しながら、その積分を求めるのに(遠回しながら)弧長を用いるのは、循環論法以外の何物でもありません。これを避けるため、純粋な解析学の分野においては、三角関数を無限級数で定義するのが一般的です。詳細は
杉浦光夫「解析入門 ?(基礎数学2)」(東大出版会)
に書かれています。興味のある方は一読をお勧めします。