補題 3 の証明(後半)
さて、前半の最後に書いた式
が示されれば
となって補題 3 が示されたことになります。そこで
となる があったとして矛盾を導きます。
はある に含まれているはずです。この がある に含まれていることが示されれば矛盾が得られるので、証明が完成します。
さて、 なる が存在することを示しましょう。仮定により なので 。従って であるような が存在します。このとき、 の選び方から です。よって の定義から
とはなり得ません。
そこで、 を なる最初の番号とすれば、 なので の選び方により です。
一方で であることから、 に属する点で の中心から最も遠い点であっても、その距離は
を超えることはありません。従って が成り立ち、矛盾が示されたので補題 3 の証明は完了しました。
だいぶ間が空いてしまいましたが、かくして当初の目的であった定理は証明され、絶対連続な関数はほとんどいたるところ微分可能で、かつそれは Radon-Nicodym 微分の結果と一致することが分かったわけです。Radon-Nicodym 微分は決して特殊なものではなく、通常の意味での微分の拡張に過ぎない、ということが分かったところで、今回はお開きにしたいと思います。