Lebesgue - Stieltjes 積分(その 19・最終回)

絶対連続関数は有界変動関数である

g(x)区間 I\subset\mathbb{R} 上の絶対連続関数(絶対連続関数の定義は既に与えました)とし、\varepsilon>0 を一つ固定して
(x_2-x_1)+\dots+(x_{2n}-x_{2n-1})<\delta … (1)
ならば
|g(x_2)-g(x_1)|+\dots+|g(x_{2n})-g(x_{2n-1})|\leq\varepsilon … (2)
を満たす \delta>0 を固定します。
a,b\in I,a<b として、[a,b] の細分 \Delta を考えるとき、細分をより細かく取った方が \sum\nolimit_\Delta(a,b) の値は大きくなりますので
\Delta:[a,b]=[t_0,t_1]\cup\dots\cup[t_{n-1},t_n]
において t_k-t_{k-1}<\frac{\delta}{2}(k=1,\dots,n) が成り立っているものとして構いません。
そして、\Delta における小区間をいくつかずつまとめて、その長さの和が \frac{\delta}{2}\delta の間になるように、いくつかの組にします。最後に半端が出た場合は、それは一つの組として扱います。このとき、組の数は \frac{2(b-a)}{\delta}+1 を超えず、また、各組における変動の和は \varepsilon 以下になるので
\sum\nolimit_\Delta(a,b)\leq(\frac{2(b-a)}{\delta}+1)\varepsilon
となり、g(x)有界変動関数となることがわかります。
また、(1) のとき (2) が成り立つならば、各小区間をさらに細分することによって
V(x_1,x_2)+\dots+V(x_{2n-1},x_{2n})\leq\varepsilon
が成り立つことが確かめられます。
ところで、前回の定理で得られた g_1(x),g_2(x) に対して
g_1(x_{2k})-g_1(x_{2k-1})=V^+(x_{2k-1},x_{2k})\leq V(x_{2k-1},x_{2k})
g_2(x_{2k})-g_2(x_{2k-1})=V^-(x_{2k-1},x_{2k})\leq V(x_{2k-1},x_{2k})
が成り立つので
(g_1(x_2)-g_1(x_1))+\dots+(g_1(x_{2n})-g_1(x_{2n-1}))\\\leq V(x_1,x_2)+\dots+V(x_{2n-1},x_{2n})\leq\varepsilon
同様に
(g_2(x_2)-g_2(x_1))+\dots+(g_2(x_{2n})-g_2(x_{2n-1}))\leq\varepsilon
が成り立つので、g_1(x),g_2(x) はともに絶対連続な単調増加関数となります。従って
g(b)-g(a)=\int_a^b k(x)dx
を満たす Borel 可測関数 k(x) が存在し、これをやはり g(x) の Radon - Nikodym 導関数と言います。

部分積分法(おまけ)

最後に、Lebesgue - Stieltjes 積分の応用として、次の定理を証明なしで述べておきます。

定理(部分積分法)

f(x),g(x)区間 I=[a,b] 上の有界変動関数で、共通な不連続点を持たないならば
\int_a^b f(x)dg(x)=[f(x)g(x)]_a^b-\int_a^b g(x)df(x)
が成り立つ。

今後の予定

引越し作業に伴い、しばらくの間更新を休止します。再開後、Radon - Nikodym 微分と Lebesgue - Stieltjes 積分の関係について連載を書く予定です。