前回の続きです。
前回の正解は「ある値には近づかない」です。何故でしょうか ?
例えば というように、 をはずすように を大きくしていくと、この数列は 0 に近づきます。しかし、 のように、常に の形をしているように を大きくしていくと、この数列は常に 1 という値であり、0 には近づきません。数列がある値に近づくのならば、それは を大きくする方法によらずに同じ値であって欲しいはずなので、これは不都合ですね。
しかし、数列がある値に「収束する」という概念があいまいなままでこのような議論をしていても、いまいちピンとこないはずです。実際、上の説明で納得できた人は少ないと思います。
そこで「収束する」という概念を、誰にでも(?)わかるように、厳密な形で定義しよう、という趣旨で考え出されたのが、 論法(あるいは 論法)と言われるものです。
次回から、この ε 論法を詳しく解説していきたいと思います。