単調増加関数の分解
区間 上の単調増加関数 を与えると、これは
と分解することができます。ここで
- は絶対連続な単調増加関数
- は特異な連続単調増加関数*1
- は離散的単調増加関数
であり、この分解は定数の和を無視して一意です。以下、その証明をしていきますが、「離散的単調増加関数」とは値の増加が離散的な点でしか起こらないもの、式で書けば、 の不連続点を
とする(これは大きさの順に並んでいなくても良い)とき
と表せるものを言います。
(証明)
の不連続点を
とし、 の連続点 を一つ固定する。その上で
とおくと、 は でしか値の増加が起こらない離散的単調増加関数であり
は連続な単調増加関数となる。このような の他に
が連続な単調増加関数となるような離散的単調増加関数 が存在すれば
は連続関数であるから は定数である。
上記のごとく を固定し、 に対応する Lebesgue - Stieltjes 測度 の Lebesgue 分解を
( は Lebesgue 測度に関して絶対連続、 は Lebesgue 測度に関して特異)
として
とおけば、 であり、また、これを満たす は定数の和を無視して一意だから、所与の分解を得る。
*1:単調増加関数 が特異であるとは、その Lebesgue - Stieltjes 測度 が Lebesgue 測度に関して特異であるようなものを言います。