本題に進む前に、もう少しだけ寄り道していきます。
を任意の測度空間として、 を 上非負の可積分関数とします。このとき
とおいて、これを の分布関数と言います。分布関数は単調増加*1になるので、その Lebesgue - Stieltjes 測度が定義できますが、このとき、 上で定義される非負の Borel 可測関数 に対して
… (*)
が成り立つことを示します。
まず、 として が 上の定義関数の場合を考えると、左辺は に等しく、右辺は
となるので、両辺は一致します。
の場合も同様です。
一方で、「ある有限区間 の外で 0 かつ (*) を満たし、さらに一定値 で抑えられるような関数の全体」は、優収束定理により、極限操作について閉じています。また、このような関数の全体は、上記で見たように、区間の定義関数の線型結合を全て含むので、結局有界な Borel 可測関数全体を含むことになります。
有界でない Borel 可測関数 については
とおくと に対して (*) が成り立ち、かつ なので、単調収束定理により、 についても (*) が成り立ちます。
最後に が有限区間の外で 0 という性質を持たないときは
とすれば、 については (*) が成り立ち、また なので、再び単調収束定理によって も (*) を満たすことが分かります。
*1:さらには右連続、すなわち になります。