久々に 論法の続きです。
関数の極限
数列 の場合、 の挙動だけが問題で、そのほかには興味がありません。しかし関数 f(x) の場合になると、x が有限の値 a に近づくときの挙動も問題になります。そこでいきなり定義から入ります。変数や値が複素数の場合については後で補足することにして、まずは変数も値も実数の場合のみ考えます。
定義 1
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。なお、これらの定義において を に置き換えたものを などと表す。
定義 2
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。
とは、任意の に対して が存在して
が成り立つことを言う。
の場合については類推は容易でしょうから省略します。
簡単な例として、定義 1 に従って を証明してみましょう。今 に対して とおくと
さて、変数 x が実数の場合、x が有限の値 a に近づく方法は
- a より小さい方から a に近づく
- a より大きい方から a に近づく
の二通りが考えられます。次回、その両者に関する定義(左極限、右極限)を述べることにします。