2005-01-01から1年間の記事一覧

0 で割れない理由

良く、「0 で割ることは出来ない」と言いますが、その説明のしかたは様々です。ここでは、私なりの説明をしてみます。*1 ある数 x が 0 で割れたとして、その答を y としましょう。すると となります。従って、両辺に 0 を「掛け」て となります。従って、あ…

これではてなダイアリー市民

今日のこの記事で、ちょうど付け初めからの日数が 30 日に達します。ということで今日から私もはてなダイアリー市民、ということになります。

「考えること」の大切さ

数学を嫌う人が挙げる、もう一つの理由に「暗記が通用しない」というものがあります。 なるほど、若い頃は記憶力もあるし、数学のような考える教科よりも、英語のような暗記力である程度のレベルに達することが出来る教科の方がいいのかもしれません。 しか…

Yes or No だから面白い

数学を嫌う人が理由に挙げるものの一つに、「答が一つしかないのはつまらないから」というのがあるようです。 しかし、落ち着いて考えてみれば、それは「真実は常に一つ」ということの証明でもあります。 政治や経済の世界は、数学と違って、「最善の答」と…

負の数

中学になると「負の数」というものを教わります。0 より小さい数、というのは一見不思議なように思えますが、0 を中心として左と右を区別しているようなもので、それほど特別なものではありません。 しかし、負の数が受け入れられるまでには紆余曲折がありま…

「円周率」は中国産 !?

皆さんは π = 3.14159265… を「円周率」として認識していることと思います。しかし、諸外国には、この「円周率」に相当する言葉がありません。実は π を「円周率」と呼んだのは、中国が最初なのです。π が円の周の長さと直径の比になっていることはずっと前…

1 + 1 は何故 2 か

"1 + 1 = 2" という事実を、私達は、さも当たり前のように考えています。しかし、「どうして ?」と聞かれると、多分答えられる人は少ないでしょう。 一つの見方として、"1 + 1 = 2" は "2" の定義である、という考え方があります。以下順次 2 + 1 = 3 , 3 + …

数学界における日本人

数学者、と聞くと、どうしても海外の数学者を思い浮かべることが多いと思いますが、日本にも結構歴史に残る活躍をしている数学者がいます。 例えば、環論における「中山の補題」や圏論における「米田の補題」、また、フェルマーの最終定理の証明にもその一部…

二つの「超関数」

数学では「超関数」と呼ばれるものが 2 種類存在します。一つは Schwartz によるもの、もう一つは佐藤幹夫氏によるものです。しかし、両者は全く違う概念に基づいて考えられており、英語にすることで両者の違いがはっきりします。 Schwartz の超関数は、英語…

順序を入れ替えると

昨日の記事中の についてですが、ここでちょっとした手品をお見せしましょう。*1 まず、両辺を 2 で割ります。 一つおきに 0 を挟んでも和は変わらないので これを最初の級数に足すと 0 となる項を取り除けば あら不思議、これは元の級数の順序を入れ替えた…

収束の遅い級数

有名でありながら、収束が遅く、実用的でない級数がいくつかあります。例えば はいずれも有名ですが、収束が遅いため、実際の計算に用いられることはありません。π の計算方法としては、例えばマチン(Machin)の公式などが有名で、他にも何通りもの計算方法が…

最近やっていること

最近、素因数分解に没頭しています。差し当たり、2000 くらいまで何とかしたいなと思っています。 素因数分解は、小さい数であれば、理屈さえわかれば小〜中学生でも出来ます。それを何故、今ころやっているのか ? 有限群の位数が与えられたとき、その位数が…

「理想数」から「イデアル」へ

という環の中では という、二通りの素元分解が出来ます。従って、は、環論で言うところの「一意分解環」ではありません。そこで、 となるような「理想の」数があれば、 と分解できるのではないか、と考えられていました。これを本当に実現してしまったのが、…

Fourier 変換の流儀

Fourier(フーリエ)変換は、数学に限らず物理や信号処理など、様々な分野で応用されますが、その分野によって、Fourier 変換の流儀は様々です。 現代物理学 古典物理学 (純粋)数学・システム工学 信号処理 より一般化して、 という Fourier 変換も定義できま…

なぜ定積分は面積か

閉区間 [a,b] において連続な関数 y = f(x) について、a ≤ x ≤ b のとき f(x) > 0 とします。このとき、y = f(x) のグラフと x 軸、及び、直線 x = a , x = b で囲まれる領域の面積は で求められる、と、高校では教わるはずです。しかし、なぜこれで面積が求…

素数なのに !?

2 が素数であることは、おそらく誰でもご存知だと思います。これが、さらにある二つの「整数」の積に分解できる、といったら、皆さん驚くでしょう。 それは「ガウスの整数」と言われるものです。 が「ガウスの整数環」と言われるもので、この中では 2 は と…

エキゾチック 4 次元 Euclid 空間

Euclid 空間には、ごく自然な方法で可微分構造が入ります。我々は、それを普段意識することはありませんが、関数を微分するときなどは、当然のことながら、その「自然な」可微分構造の元で行っているわけです。 ところが、4 次元 Euclid 空間、いわゆるには…

7 次元エキゾチック球面

7 次元球面には、通常の可微分構造のとは違う可微分構造を持った物が存在します。これは微分トポロジーの分野では良く知られた有名な事実なのですが、その個数について、正確に知っている人は意外に少ないのではないでしょうか。答は「15 個」です。一般的に…

ホモロジー群とホモトピー群

多様体にホモロジー群が定義できるのと同様にして、「ホモトピー群」というものが定義できます。これは基本群(= 1 次ホモトピー群)の拡張のようなものです。名前は似ていますが、両者には大きな違いがあります。 n 次元多様体を考えます。このとき、(n + 1) …

Euler 数

多様体には、「Euler 数」と呼ばれる一種の不変量が定義できます。例えば n 次元球面の Euler 数はとなることがわかっています。従って、n が奇数ならば、Euler 数は 0 になります。一方で球面の Euler 数は 2 になりますが、皆さんは、正多面体等で (頂点の…

Feit-Thompson の定理

G を有限群とするとき、G が可解群であるとは となる群の列で、に対してが素数位数の巡回群となるようなものがあるときを言います。このとき、次のような驚くべき定理が知られています。 定理(Feit-Thompson) 奇数位数の有限群は可解群である. 信じられない…

逆にしても鏡に映しても

「8 の字結び目」(画像参照)と呼ばれる結び目があります。結び目理論では型の結び目になります。 さて、一般に、結び目に対してはその「逆」と「鏡像」というものが定義できます。 逆 結び目には向きをつけることが出来ますが、そのつけた向きと逆の向きをつ…

えっ、結び目で多項式 !?

結び目からは、その結び目に特有の多項式が、様々な方法によって導き出され、結び目を特徴付ける、いわゆる「不変量」としての性格を持っています。 結び目における最も基本的な多項式は Alexander 多項式です。最も簡単な(自明でない)結び目は、数学界では …

昨日未更新の件

昨日は多忙とそれに伴う疲労のため、更新できませんでした。今日から三連休なので、精力的に更新したいと思います。

円分多項式

代数学の体論で出てくる、「円分多項式」というものがあります。ここで、円分多項式について説明しましょう。なお、以下の内容は基本的に「代数概論 (数学選書)」(森田康夫著、裳華房)からの引用です。 その前に、まず「1 の原始 m 乗根」と言われるものにつ…

高校の問題で 3 次以上の方程式が出たら ?

高校生の範囲でも、3 次以上の方程式を解くような問題は時々出てきます。しかも整数解もない…そんなときは ±(定数項の約数)/(最高次の係数の約数) が解になっていないか調べてみると、うまく行くことがあります。覚えておくと便利ですよ !

必ず決まった訳され方をする英語

一般には様々な意味を持つ英単語が、数学ではほとんどの場合において一通りにしか訳されない、というケースがいくつかあります。 "series" = 「級数」*1(一般には「(〜の)続き」「続き物」の意) "period" = 「周期」(一般には「期間」「終止符」の意) "group…

なぜ「余弦波」という言葉はないのか ?

皆さんは、「正弦波」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。言うまでもなく、のグラフのことを「正弦波」と言います。しかし、「余弦波」という言葉は何故かありません(MS-IME では変換できない)。何故でしょう ? その理由は、正弦波を平行移動するとの…

それでも数学は役に立たない

昨日の記事で、あたかも数学教育の重要性を訴えるかのようなことを書きました。もちろん数学「教育」は必要です。しかし、数学そのものは、やはり役には立たないと思います。特に高校以上の数学となれば、役に立たない度合いも激しくなります。一体どれだけ…

二次方程式の解の公式は消えていた !!

昨日の日記に頂いたトラックバックで知ったことなのですが、実は中学校の数学の教科書から、二次方程式の解の公式が消えていたことが判明。「発展的な内容」という形で復活するそうですが、この事実には驚きました。おそらく、教育課程審議会の会長である三…