2006-01-01から1年間の記事一覧

極値探し

d:id:rena_descarte:20060925:1159116048 にて なる関数に極値がありそうだ、という話になっていたので、今更ながら Maxima など使って計算してみました。いや、別に手計算でも良かったんですが(^^;)。

圏論への誘い(その 4)

今しばらくは、一つの圏 の中だけで話をすることにします。 単射、全射、同型射 が単射(mono)であるとは、任意の対象 と任意の射 に対して が成り立つことを言います。 が全射(epi)であるとは、任意の対象 と任意の射 に対して が成り立つことを言います。 …

圏論への誘い(その 3)

以下、「集合」「写像」は、前回までに準備した、拡張された意味で用いるものとします。 圏を構成するもの 圏(category)は、以下のようなものによって構成されます。 対象の集合 射の集合 二つの写像 恒等射を定める写像 射の合成を定める写像 、ただし 、ま…

圏論への誘い(その 2)

もう少し下準備にお付き合いください。 より拡張された意味での「写像」 を小さな集合とするとき、 の部分集合を から への対応と言いました。特に、対応 が *1] の略記です。)) を満たすとき、 から への写像と言い、 に対して となる のことを と書くので…

圏論への誘い(その 1)

いよいよ圏論の基礎についてです。今回は、その下準備的な話をしたいと思います。 小さな集合とクラス 私たちが普段数学で扱う「集合」とは、Zermelo-Fraenkel 公理系によってその性質が定められているものを言います。これを区別して「小さな集合」と呼ぶこ…

Fermat の最終定理に挑む(その 15・最終回)

では、n = 5 以降の歴史について、Wikipedia の記事なども参考にしながら見ていきましょう。 n = 7 の場合 n = 7 の場合の証明の途中経過として、n = 14 の場合に正しいことはディリクレ(Dirichlet)によって証明されました(1832 年)。 n = 7 を解決したのは…

Fermat の最終定理に挑む(番外編)

これまでは整数のお話でしたが、整数の代わりに適当な環 R を持ってきて、 なる「非自明」な解はあるのか ? というお話を少ししたいと思います。

Fermat の最終定理に挑む(その 14)

n = 5 の場合(続き) 前半で、 … (*) の解 から新しい解 を構成する方法を見ました。この方法をどんどん繰り返せば、 という関係から、 を素因数分解したときに現れる相異なる素因数の数を少なくできる可能性があります。このことから、 としては素因数分解し…

Fermat の最終定理に挑む(その 13)

以下、断りがなければ整数は における整数とし、、また とします。 n = 5 の場合 問題を変形・一般化し、さらに前回証明した補題 5 を使って … (*) は の整数を解に持たない。ただし は非負の有理整数、 は単数、 はどの二つも互いに素とする。 を示せばよい…

予定変更のお知らせ

本日、Fermat の最終定理の n = 5 の場合の証明を述べる予定でしたが、本日はもうあまり時間がないこと、明日はほぼ一日中出かける予定であることから、証明は明後日以降に述べることにしたいと思います。

Fermat の最終定理に挑む(その 12)

五つの補題 先日の予告どおり、まずは五つの補題を示します。

Fermat の最終定理に挑む(その 11)

の整数論(続き) さて、 には、もう一つ、著しい性質があります。それは、 に対し となる が存在することです。

Fermat の最終定理に挑む(その 10)

の整数論 により、 の整数は , の形をしています。 とおくと とかけるので、*1とおけば、 の整数環は と表すことが出来ます。 さて、 故、 は単数ですが、実は の単数は、全て (n は整数)の形であることが分かります。 *1:1 の虚 3 乗根と混同しないように。

Fermat の最終定理に挑む(その 9)

一通りの準備は出来ましたので、いよいよ n = 3 に挑みます。 n = 3 の場合 問題を少し拡張して … (1) なる は存在しない ことを示しましょう。 このためには、 が で(すなわち で)割り切れないならば … (*) が成り立つことを利用します。これを示すには、 …

Fermat の最終定理に挑む(その 8)

単数と同伴数 さて、一般に、可換環 R と、その元 a に対して、ab = 1 となる が存在するとき、a を R の単数と言い、単数の全体を U(R) で表します。 また、 に対して となる単数 があるとき、a と b は互いに同伴数であると言います。 の単数 二次体の整数…

Fermat の最終定理に挑む(その 7)

以下は、あまり一般論を述べても仕方がないので具体論に入ります。 二次体 の整数環 二次体 の整数は により , の形をしていることが分かります。ここで とおくと となりますが、ここで は、よく知られている 1 の(虚)三乗根です。従って、二次体 の整数環は…

Fermat の最終定理に挑む(その 6)

以下、 の元を「有理整数」と言うことにします。 トレースとノルム 二次体 は Galois 拡大です。そこで、その Galois 群 の単位元でないものを とおきます。このとき、簡単な考察により に対して となります。この を の共役と言います。また を、それぞれ …

Fermat の最終定理に挑む(その 5)

そもそも二次体とは ? L を二次体とします。このとき、L は 上の二次のベクトル空間ですから、L の元 x は、ある (もちろん ) を用いて () と表せます。そこで、 の最小多項式を とすると のいずれかですが、このとき となるような有理数 r、及び、平方因子…

Fermat の最終定理に挑む(その 4)

n = 3 の場合(歴史) n = 3 の場合については、オイラー(Euler)によって 1770 年に証明されました。この証明には一部 gap があることがランダウ(Landau)らによって指摘されましたが、その gap にあたる部分は Euler 自身が 1760 年に証明を与えていたことが、…

Fermat の最終定理に挑む(その 3)

n = 4 の場合 まず最初に、Fermat 自身が証明したとされる n = 4 の場合について考えましょう。 そこで用いられるアイデアは無限降下法と言われるものです。 まず、 なる自然数解があれば なので、 … (*) なる方程式に自然数解が存在することになります。従…

Fermat の最終定理に挑む(その 2)

ピタゴラス数 いきなり最終定理に挑む前に、n = 2 の場合、すなわち … (*) を満たす自然数解について考えて見ましょう。そのようなものは無限に存在し、それらはピタゴラス数(pythagorean number)と言われます。ピタゴラス数は、具体的に表すことが出来ます…

Fermat の最終定理に挑む(その 1)

少し予定を変更して、圏論を始める前に、フェルマー(Fermat)の最終定理にまつわる話をしたいと思います。 フェルマーの最終定理とは n が 3 以上の自然数のとき を満たす自然数解 (x,y,z) は存在しない というものです。 n は奇素数、または 4 と仮定してよ…

生存報告と今後の予定など

えーと。とりあえず生きてました。しばらく数学からは離れてましたが。 今後の予定ですが、来月を目処に、真剣にトポスの勉強などしつつ、圏論の基礎的なことを連載形式でここで紹介していきたいと思います。具体的な圏としては集合と写像の圏、群と準同型の…

木とアルカンの構造異性体

もう一つ、グラフ理論ネタにお付き合いを。 連結で、閉路を持たないグラフを木(tree)と言います。 あるグラフが木かどうかを判定する方法はいくつか知られていますが、その一つに「連結かつ辺の数が (頂点の個数) - 1」というものがあります。 さて、分子式 …

グラフと一筆書き(その 4・最終回)

以下、奇数次の頂点を「奇点」と言うことにします。 (半)オイラー・グラフとなるための必要条件 G をオイラー・グラフ、または半オイラー・グラフとします。条件を満たすような小道をとり、その始点となる頂点を 、終点となる頂点を とします。G がオイラー…

グラフと一筆書き(その 3)

オイラー・グラフと半オイラー・グラフ さて、グラフ G は連結であるとします(連結の定義は既に述べました)。 このとき、G の全ての辺を含むような閉じた小道があれば、G をオイラー・グラフ(Eulerian graph)と言います。また、そのような小道をオイラー小道…

グラフと一筆書き(その 2)

頂点の次数と握手補題 グラフ の各頂点 に対して、その次数を と定義します。要するに、v から伸びる辺の数なのですが、ループに関しては二重にカウントすることに注意してください。 なる頂点を孤立点、 なる頂点を端点と言います。 頂点の次数に関して、握…

グラフと一筆書き(その 1)

久しぶりの日記は、一筆書きを「数学」してみます。 ある種の同値関係 空集合ではない集合 V に対し、 上の同値関係を と定義します。これは同値関係になります。ところでこれは一体どういった同値関係なのでしょうか。 の同値類は です。実際 とすると、 で…

決着・1 + 1/2 + … + 1/m

決着がつきました。しかも Chebychev の定理なんか必要なかった orz

続・1 + 1/2 + … + 1/m

下記の問題、どうやら 定理(Chebychev) 任意の自然数 n に対して を満たす素数 p が存在する を使うと証明できるらしい。これは解析というより数論の問題なのか ? うーむ、まだ分からん(というか考えていない)…。