久しぶりの日記は、一筆書きを「数学」してみます。
ある種の同値関係
空集合ではない集合 V に対し、 上の同値関係を
と定義します。これは同値関係になります。ところでこれは一体どういった同値関係なのでしょうか。
の同値類は です。実際 とすると、 であることから でなければいけないので となるからです。
では の同値類はどうでしょうか。 とすると、 なので、 か です。このとき明らかに
- ならば
- ならば
でなければならないので、 の同値類は
となります。
この同値関係によって を分類した商集合を と書くことにします。また、 の同値類を と書くことにします。すぐにわかることですが です。
グラフの定義
数学的に、グラフ G とは のことです。ここで V は頂点の集合、E は辺の集合で、 です。 に対して のとき、e は v と w を結ぶと言います のとき、e はループであると言います。また、 に対して、 となる は一つとは限りません。これは、二つの頂点を結ぶ辺は複数あっても良い、ということに他なりません。実際に となる が複数あるとき、これらの辺のことを多重辺と言います。
ループ、及び多重辺を含まないグラフのことを単純グラフと言います。
連結性
頂点の集合 V に対し
として関係を入れます。この関係は対称律を満たしますが、反射律と推移律を満たしません。そこで、これを反射律と推移律を満たすように拡張し、V 上の同値関係を作ります。この同値関係による V の商集合がただ一つの元からなるとき、V は連結であると言います。
では、具体的にグラフが連結であるとはどういうことでしょうか。上の関係を拡張して作った V 上の同値関係を で表すことにします。
は反射律を満たすので は常に成り立ちます。では、 で というのはいかなる状況でしょうか。
それは
(m は 1 でも良い)
となる頂点 が存在することに他なりません。すると、 の定義により
()
なる が存在します。すなわち、v から、いくつかの辺を通って w まで行くことができる、というわけです。これを v から w ヘの歩道と言います。歩道の中でも、 が相異なるものを小道と言い、小道の中でも が相異なり、また であるものを道と言います。特に のとき、小道や道は閉じていると言い、少なくとも 1 本の辺を持つ閉じた道を特に閉路と言います。
このことから分かるように、グラフが連結であるとは、どの相異なる 2 頂点に対しても、その 2 点を結ぶ道があることを言っているのに他なりません。