さて、話の続きです。
群環 K[G] は環ですから、当然加群として (K[G],K[G])-両側加群とみなせます。つまり、G の元が左からも右からも作用します。この右からの作用を左からの作用と思うために に対して
と定めると、K[G] は G×G-加群になります。
G の表現 には環準同型
が対応していました。従って に対し
と定めれば、 も G×G-加群になり、なおかつ に対して
なので、 は G×G-準同型となります。
ここで大事なことは
と言うことです。そのための予備知識として、G-加群 V と H-加群 W に対して
が成り立つことを知っておく必要があります。前に紹介したテンソル積の概念をうまく使うと証明できますが、テンソル積を使わない証明が「加群十話―代数学入門 (すうがくぶっくす)」に付録として載っていますので、興味のある方はそちらを参照してください。
この事実において H = G , W = V とおけば
となり、V が既約な G-加群のとき でしたから
となり、 も既約 G×G-加群になることがわかりました。(続く)