Noether 的付値環が DVR となることの証明(その 3)

付値環

R を整域とする。その商体 K の各元 x\in K に対して
x\not\in R\Rightarrow x^{-1}\in R
が成り立つとき、R を K の付値環という。付値環のイデアル I , J に対しては I\subset JI\supset J かのいずれかが常に成り立つ。したがって、付値環には極大イデアルは一つしか存在しないので、局所環である。また、イデアルだけでなく、商体 K に含まれる任意の R 加群 M , N についても同様の結果が成り立ち、特に
G=\{xR|x\in K^\times=K\setminus\{0\}\}
に順序を xR\prec yR\Leftrightarrow xR\supset yR で、演算を (xR)(yR)=xyR で定めると、G は可換な順序群である。

付値

体 K と順序加群 H が与えられているとする。H'=H\cup\{\infty\} に新たな順序を a\prec\infty(\forall a\in H) で導入し、また a+\infty=a(\forall a\in H),\infty+\infty=\infty と約束する。写像 v:K\to H'

  1. v(xy)=v(x)+v(y)
  2. v(x+y)\geq\min\{v(x),v(y)\}
  3. v(x)=\infty\Leftrightarrow x=0

を満たすものを K の付値という。このとき
R_v=\{x\in K|v(x)\geq 0\}
は K の付値環であり、
I_v=\{x\in K|v(x)>0\}
がその極大イデアルである。vK^\times への制限は乗法群 K^\times から H への準同型となるが、H の部分群 v(K^\times) を v の値群という。

一般に R を K の付値環とするとき、上記 G に \infty=\{0\} を付け加え、w:K\to G\cup\{\infty\}w(x)=xR で定めれば、R=R_w である。したがって、付値環と付値は常にワンセットと考えられる。

DVR

v を K の付値とするとき、その値群が \mathbb{Z} に同型ならば、この付値は離散的であるといい、その付値環 R_v離散付値環(discrete valuation ring , DVR)という。