Noether 的付値環が DVR となることの証明(その 2)

Artin-Rees の補題(続き)

b\in I^i\cap J に対する
bx^i=g_1 f_1+\dots+g_s f_s (g_n\in S)
の係数比較。各 g_n f_n において
g_n(x)=d_{n,0}+d_{n,1}x+\dots(d_{n,j}\in I^j),
f_n(x)=c_{n,0}+c_{n,1}x+\dots+c_{n,k}x^k(c_{n,j}\in I^j\cap J)
とおいて x^i の係数に着目すると
\sum_{j=0}^k d_{n,i-j}c_{n,j}
となるが、ここで i\geq k により d_{n,i-j}\in I^{i-j}=I^{i-k}I^{k-j} であるから、この係数は I^{i-k}(I^k\cap J) に属する。以上で証明が終わった。

Krull の共通部分定理

R のイデアル I ,J があって、J は有限生成であるとする。このとき、IJ = J ならば NAK の補題により (1-a)J=0 を満たす a\in I があることに注意する。

次に、R を Noether として、そのイデアル I に対して
I^*=\bigcap_{i=1}^\infty I^i
とおく。Artin-Rees の補題により、正整数 k が存在して
I^{k+1}\cap I^*=I(I^k\cap I^*)\subset II^*
であるが、左辺は I^* の定義から I^* に一致する。したがって I^*\subset II^* であり、特に I^*=II^*。したがって
I^*\subset\{x\in R|(\exists a\in I)ax=x\}
である。逆に x\in R に対して ax=x となる a\in I が存在すれば、任意の正整数 n に対して x=a^nx\in I^n であるから x\in I^*。よって
I^*=\{x\in R|(\exists a\in I)(ax=x)\}
がわかる。