今回はちょっと本題からそれます。*1
右 R-加群 M と左 R 加群 N を考えます。このとき、 を単なる集合と思って、 の元を基底とする R-自由空間を考えます。これを F で表すことにします。そして F の中で
- (ただし )
- (ただし )
- (ただし )
の形の元全体で生成される部分加群を考えます。これを A とするとき、剰余加群 F/A のことを M と N のテンソル積と言い、(あるいは単に )と書きます。
次に、M と N を共に左 R-加群とするとき
(ただし )
のことを M から N への準同型加群と言います。さて、この について、N がもし (R,S)-両側加群ならば と定義することで は右 S-加群になります。特に R は (R,R)-両側加群とみなせるので は右 R-加群になりますから、左 R-加群とのテンソル積 が定義できます。
このとき準同型
が一意的に定まり、さらに R が可換ならば は R-線型に、そして M または N が有限基底を持つならば、 は同型(!!)になります。
テンソル積や準同型加群については、まだまだ重要な性質がたくさんありますが、それらの性質やその証明は市販の参考書に譲ることにします。