Jordan 標準形の計算方法(その 1)

K を体として、n 次正方行列 A\in M_n(K) が与えられたとき、それはアタリマエですが線型写像
A:K^n\ni\mathbf{x}\to A\mathbf{x}\in K^n
を引き起こします。そしてそのことは、\mathbf{x}\in K^n不定元 t を
t\mathbf{x}=A\mathbf{x}
で作用させることにより、K^n を K[t]-加群と看做せるのだ、ということは以前お話した通りです。そこで A の Jordan 標準形云々の話をしたわけですが、では実際にはどうやって求めたらよいのか、その具体的な方法は書きませんでした。以下、簡単のため R = K[t] とおきます。
K^n の有限表示
{R^m \stackrel{\psi}{\longrightarrow} R^n \stackrel{\varphi}{\longrightarrow} K^n\longrightarrow 0} (exact)
が作れれば
K^n\stackrel{\sim}{=}R^n/{\rm Ker}\varphi=R^n/{\rm Im}\psi
となり、{\rm Im}\psi を調べることによって K[t]-加群としての K^n の構造、そして A の Jordan 標準形を決定できます。(続く)