を 行列 A で与えられる線型写像とする。 とおけば
- は の r 次元部分空間
- は の (n - r) 次元部分空間
である。そこで
- の補空間
- の補空間
を各々一つ取って固定し、 の基底も各々一組取って固定しておく。
の基底として、上述の の基底と の基底を合併したもの、 の基底として の基底と の基底を合併したものを取る。 および における、標準基底からこれらの基底への変換行列を とおけば
( は 次正則行列)
と表せる。何となれば、 の各々の基底変換を引き起こす基底変換行列
を施して と書きなおせば
… (i)
と表すことができる。
さて、線型写像 が
ならば
を満たすものとする。これは
… (ii)
が成り立つことと同値であるが、 を (i) のように変形したとき
… (iii)
( は 、 は 、 は の任意の行列)
とおけば (ii) が成り立つ。この を A の一般逆行列という。
今、補空間 を取り直して S の代わりに
を、同じく を取り直して T の代わりに
を取っても (i) の形は変わることなく
() … (iii)'
と書きなおすことができる。したがって、一般逆行列の自由度は
- の補空間の取り方
- の補空間の取り方
- 線型写像 の取り方
の分だけ存在することになる。
逆に (ii) を満たす があるとき
とおけば は (iii)' の形に表される。また (ii) から明らかに
であるから、 は における への射影であり、 は における への射影となる。
も明らか。
なお、n = m かつ A が正則のときに限り は一意に定まり、それは明らかに である。