- 作者: 福原満洲雄,山中健
- 出版社/メーカー: 朝倉書店
- 発売日: 2005/03
- メディア: 単行本
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この本の最初には面白い例が載っている。
周の長さが一定で 2a (a > 0) であるような三角形で、面積が最大のものは何か、という、高校数学でも解けるような問題が紹介されている。
Heron の公式により、三角形の各辺を とすれば、三角形の面積の二乗 は
で与えられる。ただしもちろん で、さらに
でなければならないから
… (*)
が条件となる。
さて、 の極値を求めるとすれば、 は連立方程式
の解でなければならないが、 の条件から
でなければならず、これから を得る。
一方で
とおくとき
だから、、すなわち正三角形のとき は極大となる。ちなみにそのときの面積は
である。しかし、これが本当に最大値かどうかはまた別の問題となる。
今、D の閉包
を考えると、 は compact だから、今度は は 上で最大値を必ず持ち、その候補となる 上の点は D において を極大にする点か、D の境界 上で最大となる点である。ところが、 上の点においては であり、また D 上では かつ を極大にする点は先の考察により一つしかないから、結局先ほど求めた極大値は取りも直さず最大値であると結論できるのである。
一見何の変哲もない問題だが、前半では「 が D 上で最大値を持つならば」 は極大値であるということを示したに過ぎず、 が本当に D 上で最大値を取るかどうかは、別に考察を必要とするのである。
等周問題も同じことで、「もし長さが一定の Jordan 曲線が囲む面積に最大値があれば、それは円である」ということに関しては、変分法を使わなくても証明ができるのだが、実際に最大値があることを証明するために変分法は不可欠なのである。