R を可換環として、 を考えます。もし が環としての構造を持つように和と積を定めることが出来たならば、それは R 係数の n 次正方行列のなす環 の部分環として表現できる、という、驚くべき事実があります。
の場合の例をいくつか見てみましょう。
このうち、1 番目は環の直和 、4 番目は複素数体 に同型になります。また、見た目ではわかりにくいですが、3 番目の環は 1 番目の環、すなわち に同型なことがわかります。
ちなみに、これと似たようなものに「群の線型表現」と言われるものがあります。行列は、このように数学の実に様々な分野で登場するのです。「線型代数」という形で、他の分野よりも先に勉強する理由が、少しお分かりになったでしょうか ?