S3 から S2 への連続写像

しばらく代数の話題が続いたので、ここで幾何の話題をお送りします。
今、三次元球面 S^3
S^3=\{(\alpha,\beta)\in\mathbb{C}^2 \middle| |\alpha|^2+|\beta|^2=1\}
とおいて \mathbb{C}^2\approx\mathbb{R}^4 の部分多様体とみなすことにします。
一方で \mathbb{C}^2-\{(0,0)\}
(\alpha,\beta)\sim(\alpha',\beta')\Leftrightarrow\exists\gamma\in\mathbb{C}-\{0\} s.t. (\alpha'=\gamma\alpha,\beta'=\gamma\beta)
によって同値関係を入れ、これによって作られる商集合 (\mathbb{C}^2-\{(0,0)\})/\sim\mathbb{C}P^1 と表し、複素射影直線*1と言います。また、(\alpha,\beta) を含む同値類を [\alpha:\beta] と表します。
今、S^3 から \mathbb{C}P^1 への写像 f:S^3\to\mathbb{C}P^1f(\alpha,\beta)=[\alpha:\beta] によって定義すると、f連続写像になります。
ところで、良く知られているように \mathbb{C}P^1\approx S^2 ですから、このことによって S^3 から S^2 への自明でない(つまり、像が一点ではない)連続写像が得られたことになります。この事実を反映して、S^2 の 3 次のホモトピー群\pi_3(S^2)\stackrel{\sim}{=}\mathbb{Z} になります。一方で、S^2 は 2 次元多様体なので、3 次以上のホモロジー群は自明です。ちょっと不思議ですね。

*1:実際には実 2 次元の多様体なのですが、複素 1 次元であることに倣って「直線」という表現をします。