前回までで、積分を定義するのに必要な概念は一通り揃いました。いよいよ、一般化された積分を定義します。
積分の定義
を測度空間、f を S 上の非負可測関数とします。 の互いに共通部分を持たない有限部分族
に対して、
と定義し、さらに和
を定義します。そして が の互いに共通部分を持たない有限部分族の全体を動くときの上記の和の上限を f の積分と言い、 で表します。すなわち
です。この値が有限のとき、f は積分可能または可積分であると言います。
一般の実数値の可測関数 f に対しては、
と定義すると はいずれも非負の可測関数で が成り立つので、
が の形にならない場合に、これを と定めます。さらに f が複素数値の場合は
と定めます。これらの定義からすぐにわかる性質として、f が可積分であることと、|f| が可積分であることが同値であることがわかります。すなわち、ルベーグの意味で「可積分」と言うときは、常に絶対可積分(= 絶対値が可積分)であることが要求されているのです。