Lebesgue - Stieltjes 積分(その 12)

測度の絶対連続と絶対連続関数の関係

定理

区間 I\subset\mathbb{R} 上の単調増加関数 g(x) から定義される Lebesgue - Stieltjes 測度 m_g が、Lebesgue 測度 m に関して絶対連続、すなわち
g(b)-g(a)=\int_a^b k(x)dx(a,b\in I,a<b)
となる Borel 可測関数 k(x) が存在するための必要十分条件は、g(x) が絶対連続関数となることである。
(証明)
初めから I=[a,b] として良い。このとき、m_gm に関して絶対連続であることは

任意の \varepsilon>0 に対して、適当に \delta>0 を取れば
m(M)<\delta ならば m_g(M)\leq\varepsilon

と表せる。したがって、必要条件であることは
M=[x_1,x_2]\cup\dots\cup[x_{2n-1},x_{2n}]
に取ればすぐに示される。
十分条件となることを示そう。g(x) を絶対連続として、\varepsilon>0 に対し、定義の条件のごとく \delta>0 が取れたとする。このとき
m^*(A)<\delta ならば {m_g}^*(A)\leq\varepsilon
が言えれば十分である。
A の開区間による被覆
\Theta:A\subset\bigcup_{n=1}^\infty J_n,h(\Theta)<\delta
を考える。
M_n=\bigcup_{k=1}^n J_k とすれば、M_n は有限個の開区間の和集合ゆえ
M_n=(x_1,x_2)\cup\dots\cup(x_{2n-1},x_{2n})
と表せる。そして
m(M_n)=(x_2-x_1)+\dots+(x_{2n}-x_{2n-1})\leq h(\Theta)<\delta
であるから
m_g(M_n)=(g(x_2)-g(x_1))+\dots+(g(x_{2n})-g(x_{2n-1}))\leq\varepsilon
である。さすれば M_n\uparrow\bigcup_{n=1}^\infty J_n により
m_g(\bigcup_{n=1}^\infty J_n)=\lim_{n\to\infty}m_g(M_n)\leq\varepsilon
だから
{m_g}^*(A)\leq m_g(\bigcup_{n=1}^\infty J_n)\leq\varepsilon
となり、示された。

以上の定理により、絶対連続な単調増加関数は、ある Borel 可測関数の不定積分の形になることが分かります。この Borel 可測関数のことを g(x)Radon - Nikodym 導関数と言います。しかし、g(x) が通常の意味で微分可能だった場合の g'(x) と、この Radon - Nikodym 導関数が一致するかどうかについては、まだ保障されていません。それを確認するには、もっと準備が必要なのですが、それは後回しにして、ここではもう少し Lebesgue - Stieltjes 積分の理論を深めていくことにします。