測度の絶対連続と絶対連続関数の関係
定理
区間 上の単調増加関数 から定義される Lebesgue - Stieltjes 測度 が、Lebesgue 測度 に関して絶対連続、すなわち
となる Borel 可測関数 が存在するための必要十分条件は、 が絶対連続関数となることである。
(証明)
初めから として良い。このとき、 が に関して絶対連続であることは
任意の に対して、適当に を取れば
ならば
と表せる。したがって、必要条件であることは
に取ればすぐに示される。
十分条件となることを示そう。 を絶対連続として、 に対し、定義の条件のごとく が取れたとする。このとき
ならば
が言えれば十分である。
の開区間による被覆
を考える。
とすれば、 は有限個の開区間の和集合ゆえ
と表せる。そして
であるから
である。さすれば により
だから
となり、示された。
以上の定理により、絶対連続な単調増加関数は、ある Borel 可測関数の不定積分の形になることが分かります。この Borel 可測関数のことを の Radon - Nikodym 導関数と言います。しかし、 が通常の意味で微分可能だった場合の と、この Radon - Nikodym 導関数が一致するかどうかについては、まだ保障されていません。それを確認するには、もっと準備が必要なのですが、それは後回しにして、ここではもう少し Lebesgue - Stieltjes 積分の理論を深めていくことにします。